「彼」の新たな生は、その世界ではやがて欲に溺れ、天誅が下る鬼の若者となる未来だった――ゆえに彼は修行する。そのままでは訪れてしまう暗い命運を変えるために。
近年広く物語の世界で散見される転生ものを踏襲している事はさておき、本作で特筆すべきは主人公の特殊な出自と、半妖という存在の位置づけにあります。
主人公・朱天百貴は鬼の中のビッグネーム、酒呑童子の孫であり、なおかつ人間を母に持つ、半妖という特殊な存在です。しかも物語の世界の中では、半妖はその出自ゆえに妖怪・人間の両種族から疎まれている可能性さえ示唆されています……
子供である彼は現時点では「坊ちゃま」として使用人たちに大切に育てられていますが、或いはもしかするとその出自ゆえに労苦が迫りくるのかもしれない。ゆえに彼は奮闘しているのかもしれない。
是非とも、彼が成長し強くなった姿を見届けたいものです。