*ネタバレ含む*『万有の分銅』ボツ案

 *今回はスピンオフではありません。


 シレア国長編第三作目『万有の分銅』、完結できました。皆様の応援の言葉をいただきましたおかげです。感謝です。

 https://kakuyomu.jp/users/Mican-Sakura/collections/16816452219399453347

 さて、約十五万字にもなってしまった本作品、ボツにした台詞がいくつもあります。その中から一部のっけてみたいと思ったので掲載してみることにします。

 いくつかはひょっとしたらひょっとして、機会があったら別のシレア国で使うかも……?

 見直し前のメモそのままなので、文が変なところはご容赦を。


 ★  アウロラとカエルム 「警鐘」(二)より


「あら、私も同じことを考えていたわ」

「まるで以心伝心だな」

「それは……お兄様と私なら当たり前じゃない?」


 *


 これは以前にエッセイで載せましたね。いずれにせよいい加減にしろ、大概にしておけ兄妹。ということでボツ。


 ★  殿下とロス 「薬毒」(一)より


「私の判断が間違っていなければ、国防団の団員だと見受けるが」

 カエルムの一言に、衛士は肯定も否定もせぬまま口を閉じた。

「それならば、自分たちが命を仰ぐべき人物が誰かくらいは知っているだろう」

 衛士がたじろぎ、自分とロスの間に目を泳がせるのを確かめて、カエルムはさらに続ける。

「私は上の者の言うことに是が非でも従わねばという考えは好むところではないが、少なくとも目の前にいる上司の国防団最高司令官の言に理由も言わず背くと?」

「いや、その前に殿下でしょうが」


  *


 この部分は結局、法律事項が加わりました。新巻へもん様よりロスが希望する「王族がもう少し王族らしくなる規定」をいただきました。


「シレア国王室倫理典範。

 第1条 この規定は、シレア国王室の権威を守り、もって国家安寧の一助とすることを目的とする。」


 第2条以下、募集中。



 ★ 「毒薬」(二) 殿下とロス(またかい)


「わかっている。心配せずとも無茶はしないさ」

「なに言ってるんですか」

 ロスは揶揄うように微笑した。

「殿下が無茶できるために、自分がいるんでしょう」


 *


 例のアレ、が元のヴァージョンではこの通り、逆でした。掲載ヴァージョンの方がロスらしくなったかな?



 ついでに名前の由来を少しばかり。


 本作でテハイザ王都の名前をようやく決定しました。前作では別にいらなかったのでつけてなかった。イクトゥです。

 由来はイクトゥス=ギリシア語で「魚」の意味。キリスト教における意味もありますが、キリスト教の方は関係させず、単純に海の民というところから取っています。https://www.merriam-webster.com/dictionary/ichthus


 なぜこの言葉かというと、カタカナにするとよく似ている言葉で「ディクトゥス」とかけたらしく、私のメモによれば「指標」なのですけれど、Dictusだと「言われたこと、述べられたこと」とありますゆえ自分で出典探しをもう一度やらねばとなっています。こういうあたりもメモを残しておくべきですね。


 ちなみに。

 シルヴァさんの苗字は「Caritas」と「Glacis」からきています。


 とりあえず三つの棄却ヴァージョンでした。ボツったヴァージョンはまだまだあります。ここに乗せて供養するか、これでスピンオフいけるなと思うものはそちらへ。私の気分次第です。








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