第39話
二度、三度と放たれた
四度目の
残った奴らは、敗走して戦場からいなくなってしまったらしい。
「ざまぁ、みやがれ……!」
『
例の声の後ろでは、けたたましい音が鳴っている。
さて、アタシの身体がどうしたって?
ひどく疲れたのは確かだけど。
「セイラ!」
倒れそうになるアタシをエルムスが抱き止める。
「勝った……!」
「勝ったぞー!」
「聖女万歳!」
周囲から歓声が上がる中、心配そうなエルムスに笑ってやる。
「ちょっと疲れちまったよ」
「あれだけの神威を顕わせばそうもなりますよ。お疲れさまでした」
エルムスがアタシの頬を撫でる。
戦場のど真ん中だっていうのに、いまにもキスしてきそうだ。
「……セイラ殿!」
おっと、お邪魔虫め。
もう少し気を遣ってゆっくりに来てくれないか?
「ご無事でしたか!」
「おう。
「はい。多くの兵が命が命を拾いました」
そりゃよかった。
ここまで来た意味があったってものだ。
「四天王をも退けるとは……!」
「ありゃ、エルムスがやったんだ」
「アルフィンドール卿が……? 噂は本当だったのですね」
「噂?」
そう聞き返すが、モールデン伯爵は口をつぐむ。
ふと見ると、隣でエルムスが口に指を立てていた。
「エルムス……。アタシに隠してることがあるね?」
「もちろん。いっぺんに僕の事を語るのは無理って話です」
「なら、噂ってのは?」
「僕の出自に関することですよ。あまりいいものではないです」
エルムスの出自?
家名にまつわるものなら貴族のいざこざか?
「いずれ、酒の肴にでもお話しますよ」
「……わーったよ。約束だからな?」
そうアタシが苦笑した瞬間、脳内で例の声がけたたましい音を発生させた。
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