第20話 シリアスな話なのにコメディになってる。
「却下!」
「何でよ!?」
ライムは納得が行かないとばかりに非難の声をあげる。
「理由は3つ。1つ、弱いから。2つ、ライムとクリスじゃ鍛える方法が違うから。3つ、次に会った時に驚かせて欲しいから。わかったか?」
ぶっきらぼうに言葉を放ったが筋は通っている。女性陣の中で転生者であるクリスはダントツに強い。魔法ありでアレンと戦えるくらいに。鍛える方法にしても、転生者なら多少無茶をしても問題がない。
そして最後に次会う時に驚かせて欲しいのは本心であった。
ライムは、ソルに指導をするより多くの人から習う方が大きく成長出来るとソルは思っていた。
「うぅ〜、ソル君のバカ!」
そういうとライムは部屋から出て行ってしまった。それを見兼ねてリコはため息をついた。
「はぁ〜、ソルは女心がわかってないわね」
「わからないわけではないけど、察して欲しいとかそういうの面倒臭い。クリスが目の前で好意を口にするのは、俺の性格を知ってるからであって周りくどいと応えてくれないのを知ってるから。気持ちはちゃんと口に出して伝えないとダメなんだって」
ソルは、前世からそういう周りくどいことが嫌いで言い回しされたことに関してほとんど無視をしていた。
このことを聞いてクリスが俯いた。
それを見たソルは、彼女の頭をくしゃくしゃに撫で回した。
「わぁ!何するんですか!」
「自分でもわかってて落ち込んだヤツを慰めてるだけ」
「も〜う〜、先輩のアホ」
クリスが少しはにかみながら笑みをこぼす。
その様子を見たステラが立ち上がり、真剣な顔でソルに話しかける。
「今は、言わないけど次に会えた時にあなたをびっくりさせるわ。そしたら、聞いて欲しいことがあるの」
「あぁ、その時まで気持ちがブレて無ければ聞いてやる」
「それだけで十分よ。ミレイユ、ライムを探しにいきましょう」
「わかりました。ソル様、私はあなたに助けられました。あの時からあなた様をお慕いしております。無事に帰って来てください」
ミレイユは一礼をし、ステラの後を追った。
リコは、迷った顔をし覚悟を決めソルに話しかける。
「迷ってたけど真実を話すべきだと思うわ。叔母さんの日記があるの。その事について夜に話しましょう」
それだけを告げると部屋を出て行った。
この場に残された転生者3人。
部屋に沈黙が流れる。
「シリアスな話なのにちょっとコメディよりの流れになってるわ。どうすんの?アレン」
「いや、コメディだと思ってるの君だけだからね」
キレのあるツッコミをして来るアレン。ソルは、そういうツッコミが欲しかったと味を占める。
「で〜話戻すが、同じ転生者だから言っとく。クリスもよく聞けよ?俺は、どうも精神疾患があるらしい。人を殺しても何とも思わないし、死ぬことも怖くない。だけど、他人を大事に思うことはあるから何かしらイカれてるわ」
「はははっ、まさかのサイコパス発言?」
「ん〜、前世から先輩そんな感じでしたよ?グレーゾーンギリギリを走ってましたし」
そう、前世でソルはギリギリのラインを歩いていた。そして、こっちの世界に転生してその指針が振り切っていたのであった。
「好き勝手して生きるのもわるくないと思うけどソル君、君は王族に目を付けられたらどうするんだい?」
「賢王なら調教。愚王なら灰にする」
「最早、魔王だね」
「先輩、かっこいい・・・」
「まぁ〜実際魔王だしな」
「「・・・・・・えっ?」」
「ステータスオープン」
ソルは自分のステータスを開き2人に見せる。
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ソルバード
レベル:ー
種族:人族
性別:男
年齢:7
職業:魔王
属性 :全属性
[スキル]
【豪運LvMAX】
[ユニークスキル]
【状態異常無効】
【覇王の威圧】
【成長促進】
【インベントリ】
【付与】
【完全隠蔽】
[エクストラスキル]
【魔刀】
【魔装】
【魔眼】
【武の極み】
【魔の極み】
【全察知】
【独自魔法】
【虚無の魔王】
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「ということだ」
「「えぇ〜〜〜!?」」
屋敷中に、アレンとクリスの絶叫は響き渡るのであった。
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