第19話 カミングアウト
戦いが終わり、魔石の回収を他の冒険者たちに任せ、ソルたちは公爵家へと戻った。
「それで何で長いこと目を覚さずに今日、目覚めてあの場所にいたわけ?説明しなさい」
リコがソルに問い詰める。
ソルは、頭をかきながら苦笑いをして説明を始める。
「いや、俺の感覚ではさっき寝たばっかで普通に起きたって感じなんだけど。まぁ〜たぶん、見てた夢が関係してるのかも」
「夢?」
「そっ。夢の中で自分自身と向かい合って話して殴り合い、斬り合いをして色々と思い出したり吹っ切れたりしただけ」
ふぅ〜、と息を吹きかけお茶を啜る。
そんな様子を訳がわからないと見るリコたち。おもむろにアレンが口を開く。
「君は、きのことたけのこどっちだい?」
「あぁ!?ブラックサ○ダーに決まってんでしょ」
予想外の返答に口をポカーンと開けるアレン。
その横でクスクス笑うクリス。
「先輩は、いつもそうなんだから」
「クリス、今は同い年で先輩じゃない。呼び方改めろ」
「もう、つれないんだから。わかったよ、ソル君」
リスのように頬を膨らませ唇を尖らせるクリス。
周りの人達は、この2人は初めて顔を合わすのに何年も前から一緒にいたように見える。
「2人はどういう関係なんですか?」
ライムが口火を切った。
「ん?前世の幼馴染だけど?」
「ふぅぇ?前世・・・?」
「もう黙っとくのも面倒だから言うけど、俺とクリス、あとアレンは異世界からの転生者だ。全世界に気配探知かけてみて気付いたけどもう1人いるんだ」
全員の目が点になる。アレンとクリスに至っては何でバラすの?的な視線を送る。
「それで話を戻すけどクリスとは、まだ付き合ってなかったけど俺の大切な人だ」
「先輩〜、恥ずかしいですよ〜」
クリスは、普段見せないような照れた顔で両手で頬を包みイヤンイヤンしていたことにアレンが突っ込む。
「クリスさんって猫被りだったのか」
「アレン、コイツのこれは全部素だ。諦めろ」
「それはそれで何というか・・・・・・ね?」
アレンはそう言ってリコたちに同意を求めた。全員が揃って頷いていた。
おもむろにリコが口を開く。
「それにしてもクリスは、ソルだけは何ともなく触れられるんだね」
「はい!愛の力です!!」
「あ、あはは。愛の力って」
リコは遠い目をして乾いた笑いを漏らす。
そして、ステラ、ライム、ミレイユは鋭い目付きでクリスを睨み告げる。
「「「ソル(((バード、様、君)))は、私のもの((です、よ))」
「正妻は、私です!」
クリスとステラ、ライム、ミレイユの間で火花が散る。
アレンは爆笑しながらソルに問う。
「あははははっ!ソル君、モテモテだね!誰を選ぶんだい?」
「ん〜、結婚出来る歳になるまで考えんでいいかな。惚れた腫れたなんて面倒だし、それより当分旅に出るわ」
「唐突に何言ってんのかな?」
「だってあのオカマ野郎から習うことないし、アレンとは色々と遊びたい案件があるから過ごしたいけどやっぱ色んなところ行かないとね〜結論、好きに生きる!」
「はぁ〜、わかったよ。でも数日は休んでそこから準備して旅立つといい。あと12歳になったら王都の学園に入学して来ること、いいね?」
「あいよ。あ、旅立つのにクリスだけ連れて行くから。コイツを鍛えるのは俺がやる」
「君、結構、クリスさんを贔屓するよね」
ソルが唐突に言い出したことに嫌味の一つでもとアレンは吐き捨てる。
「あぁ、クリス、祈里は、俺のソウルメイトだからな。自分の精神世界で知ったんだけど」
「えぇ!?最早、運命じゃないですか!結婚しましょう、先輩!」
「成人したらな・・・・・・」
「やふぉーい!」
アレンが目を見開いてびっくりしていた。
「随分、オカルトチックな話だけど有り得なくもない。それにさらっと婚約した辺り、驚愕だよ」
こうして混沌とした話し合いは終わるかと思えたが、
「ソル君、私も連れて行って!」
ライムの一言により話し合いは、一層荒れることとなった。
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