第15話 負けられない戦い
アレンside
「先生、彼女はやはり虹色の原石ですか?」
「ええ、間違いなく虹色だったわ」
「そうですか。これで3人目」
先生は、僕やソル君、クリスちゃんが虹色に輝く才能の原石に見えている。条件・・・・・・不確定要素だから何とも言えないな。
せめてソル君が目を覚ましてくれたらいいのだけど。
「師匠、歴代で見ても虹色に輝く才能の原石ってなかったんですよね?何故、今回立て続けに3人も見つかったんですか?」
「それがわからないのよねぇ〜。金の原石や銀の原石は少なくないけど今まで見たことあったわ。でもオリハルコンのような虹色の原石は、アレン、ソル、クリスだけなのよねぇ」
「そうなんですか」
ひとつ心当たりがないわけではないけどこれは先生たちに言えることではないな。
そんなことを考えているとドアがノックされ、ライムちゃんが入ってくる。
「アレン様、クリス様よりお手紙を預かって参りました」
「僕にかい?ありがとう」
そういうと、ライムちゃんは手紙を差し出してくる。それを受け取り中を確認する。
『きのこorたけのこ?私は、きのこ』
これは・・・・・・挑戦状だな。僕は、たけのこ派だ。別派閥の時点でこれは戦うしかない。
「先生、僕はどうやらクリスさんと戦わなければならない。立ち会いをお願いできますか?」
「ちょっと何言ってるのかしら!?なんて手紙に書いてあったの!?」
「そうだよ、アレンいきなり戦うってどう言うことよ?」
「これは・・・・・・これは、お互いの意志を守るための戦いなのです。決して負けられない戦いです。ライムちゃん、クリスさんに30分後に中庭で派閥を賭けた戦いを申し込むと伝えてくれ」
「あわわわわ。わ、わかりました」
そういうとライムちゃんは慌てて部屋を出て行った。
きのこ派には、決して負けられない。
そして彼女は、転生者で間違いなく虹色の原石の条件もわかった。
クリスside
ライムに手紙を託して数分後、慌てた様子でライムは帰って来た。
「クリス様、アレン様より30分後に中庭にて派閥を賭けた戦いを申し込むそうですが、どうなさいますか?」
くっ、彼はたけのこ派だったのね。これで戦わない訳にはいかない。
男性が苦手だからと言ってこの戦いは、お互いに意地とプライドと派閥がかかっているのだから。
負けられない。
時間が経ち、私は中庭に移動した。
アレン様は既に待っていてアップを始めていた。
「やぁ、クリスさん。さっきは熱烈なラブレターをどうも。だけどこの勝負、僕は絶対に負けられない」
「アレン様、あなたがそちら側の人間だったなんて残念です。せめてこちら側なら男性が苦手でも少しは歩み寄れるかもと期待したのですが、非常に残念です。敵なので心置きなく叩き潰させて頂きます」
私は、用意されていた木製の武器から迷わず木刀を抜いた。
「ルールですが、私は男性に対して無意識に結界系の魔法を使ってしまうので魔法有りでお願いします」
「ああ、それでいいよ」
アレン様から感じる圧が尋常ではない。だが、それはアレン様も私から感じているだろう。私は村が襲われてから自分を護るために鍛えて来た。それを今、この人で試せるのは幸運なことなんだろう。
派閥の違いに男というだけで負けたくない。
「それじゃ〜、このコインが落ちたら開始ということで」
アレン様は、コインを高く弾く。
落ちた瞬間、お互いに駆け出した。
のにち、ウォレット公爵家従事者の間で語り継がれる『きのこたけのこ戦争』と。
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