第14話 女の勘
クリスside
「クリスさん、今、なんて言った!?」
「あ、うぅ、いえ、な、何でもないです。」
アレン様からいきなり声をかけられ、びっくりしてリコさんの背後に隠れてしまった。
やっぱり、男の人が怖い。
「すまない、僕も勘違いをしてしまったみたいだ。それより、ソル君の治療を頼むよ」
私は、頷き寝ている少年に近付く。
彼を見れば見るほどどこか先輩と思わす雰囲気を感じる。
触れたい
村の件以来、意識があろうとなかろうと男の人に触ることが出来ない私がそう思った。
この人なら触れられる。
そう確信もある。
「それでは、開始します」
彼に手をかざす。
かざした手から彼の情報が流れ込んで来る。
だけど所々、鍵でもかかってるみたいに見ることが叶わなかった。
でも分かったことは、彼は激しい怒りを感じ複数のスキルを使用して魔力が枯渇した。
そして、その魔力が回復し切ってない、いや、回復すらしてないことだった。
私は息を吐き結果を伝える。
「ふぅ〜、彼が目を覚さない原因と思われる要因の一つに魔力が全くと言って回復してないことを考えられます」
「それは、どう言うことなんですか?」
ライムさんが首を傾げ、質問してきた。
「彼は何らかのスキルを複数使用して大量の魔力を使用したと思われます。ですが、その回復する魔力が勝手に他のスキルに流れて行く感覚ですね。私のスキルに流れや記憶を読むと言った特殊なスキルが有ります。それを使用して読めたのがここまでです。彼の情報が所々、鍵をかけたように見ることが出来なかったので断定は出来ませんけど」
そういうとリコさん以外の女性陣が俯いた。
何か知ってそうだけどお師匠さん、アレン様とリコさんは知らなそうなので聞くことを止めた。
「わかったわ。ありがとう。長旅で疲れてるところ悪かったわね、ゆっくり休んで頂戴。ステラ、ミレイユ、ライム、後は頼んだわよ。リコとアレンは、今後について話があるわ」
「わかりました、先生。クリスさんゆっくりして下さいね」
「クリスちゃん、指導は明日から開始するね。今は疲れを癒してね」
そう告げるとお師匠さんたちは部屋を出ていった。
「ミレイユ、ライム、お茶の準備をお願い。クリスさんには、聞きたいことがあります」
ステラ様にそう告げられ少し身構える。
だけど、ステラ様は私を見つめて少し微笑む。
「男性が苦手だとお伺いしたのですが、ソルバードに関しては大丈夫そうに見えるのだけど何故かしら?」
この人、いきなり核心ついてきたなぁ。
取り敢えず、惚けてみようかな。
「何故そう思うのですか?」
「質問を質問で返すのはどうかと思いますけど、お答えしましょう。何と言いますか女の勘です」
女の勘って馬鹿に出来ないんだよね。
「そう言うことですか。では、お答えします。この人なら大丈夫だと私の勘が訴えたからです」
「そうですか。わかりました」
簡単に引き下がった。
ちょっと拍子抜けした。
丁度良く、お茶を目の前に置かれお礼を言って一口飲む。
「あなたからは、お兄様やソルバードと同じ空気を感じます」
私は、いきなり告げられたことにキョトンとしてステラ様を見る。
「面白い顔をしますね。理由をお教えします。私のお兄様は、知識が豊富で能力もかなり高いです。そして、誰も思い付かないような訓練方法などを思い付き実行してます。そして、成果を上げる。風格が他の人とは違うのです。ですが、ソルバードとあなたから同じ空気を感じ取り、先程、お師匠様があなたのことも虹色の原石と呟いたのを聞いて納得しました」
「あの〜虹色の原石とは?」
「お師匠様は、他人の才能を色と形がわかるそうで私とライム、リコ姉様、ミレイユが金色の原石だそうです。それ以上の才能を虹色と表現しているのです」
なるほど、規格外が3人。
でも私は、ソルバードと呼ばれる彼がどうしても蒼亮先輩に思えてしまう。
なら、アレン様も転生者?
確認をしたいけどアレン様と話すのは怖い。
どうすればいいんだろう?
彼が早く起きてくれればと思ってしまう。
「すみません、紙とペンを借りれますか?」
「ええ、構いませんけどいきなりどうしたのです?」
「今の話で、アレン様に聞きたいことが出来たのですがアレン様と話すのは身体が震えるのでメモを渡して貰おうかと思いまして」
「納得しました。でしたらこちらをお使いになって」
「ありがとうございます。ステラ様」
渡された紙にサラサラっと簡単に書く。
それをライムさんに渡してもらうようにお願いをしてお茶を飲む。
転生者なら反応するであろう、そう思いながら外を眺めた。
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