第8話 『太陽』
俺は、【威圧】をフル展開し、囚われていた鉄の柵を【魔刀:閻魔】でひと薙ぎで破壊し、結界をすり抜け扉を開けて出る。
それを見ていた人たちは唖然としていた。
「盗賊がどんな目に遭うか簡単に想像出来るわ」
一足先に正気に戻ったステラが呟くと皆、頷く。
扉を出てすぐに見張りが1人たっていた。
見張りは、扉から出てきた俺にビックリしていたからそっと右手で見張りの胸に触り
「10万ボルト」
雷魔法を喰らわす。見張りは、ゆっくりと後方に倒れる。
心臓に近い部分に喰らわせたから確実にやったはず。
そのまま、【全探知】で人気のある方向に歩き出す。気分がノッて来た。歌を歌い出す。
「し〜ずかに移り行く〜♪遠い記憶の中〜♪」
奥の方から人がかけてくる。
大声で歌いながら歩いてたんだから当然、異変を察知して人が集まってくる。
「てめえ、どうやってここに!?なんだこの威圧感」
「お、おい!相手は1人だ。や、やっちまえ」
盗賊は、ビビりながらも襲いかかるタイミングを測っていた。
「たくさんいるけど全員倒していいよね?答えは聞いてない。癒しの針山地獄!」
俺は、【魔刀】を地面に突き刺す。
地面から棘が生え、盗賊を串刺しにする。
「ぐぁぁぁ、何だこれは!」
「刺さって抜けねえし、動けねえ」
「血が出てない、中途半端に傷が癒えていくぞ」
「痛い〜痛いよ、あんちゃん」
棘は、お尻から刺さり腹部と股間から突き出て出血ししないように傷口が癒えていく。
「どう?ケツの穴を犯される感想は。それに股間もサイズアップして嬉しいでしょ?あ、詠唱されたら面倒だな。口内を凍らせろ、フローズン」
俺は、ニヤニヤしながら盗賊たちに声をかけていく。口の中を凍らされた盗賊は、うぅ〜やあぁ〜としか喋れない。
「君たちのボスの首取ってくるまで今までの行いを懺悔しててね?じゃ〜ね」
奥の部屋に向かってスキップをするがの如く軽い歩き出した。
「会いたく〜て♪会いたく〜て♪星のか〜ずの夜をこえ〜て♪」
「あれは何だ?雷魔法か?鳥籠みたいな形だ」
東の森を探索に向かった捜索部隊は、巨大な雷で出来た鳥籠を見て騒然とした。
「あそこで何が起きてるの?」
リコは、鳥籠を見ながら妙な胸騒ぎがする。
アレンは、鳥籠をみて別のことを考える。
あの禍々しい魔力は、なんだ?もしかして、あれが彼の魔力なのか?
アレンはソルと対峙したときソルの魔力を感じていた。だけど、細々として悪い気配ではなかったはず。
「リコ姉さん、急ぎましょう。何か良くないことが起きていそうです」
「ここがボス部屋か」
扉の向こうから3人の気配を感じとる。
礼儀としてノックをしてみよう。
「コンコンッ。ドアを開けて〜」
中の動きが止まった。開けようとする気配はない。【魔刀】で一閃し、扉が砕け散る。
中の光景が目に映る。
椅子に座る裸の巨漢と死んだような目をした12歳くらいの少女を背後から犯す筋肉質の男。
少女は、こちらを向くと口が微かに動く。
た・・・す・・・け・・・て・・・
筋肉質の男が壁にめり込み、首から下が串刺しになる。
俺は縮地で加速した勢いのまま筋肉質の男を殴り倒した後、少女を抱え扉の前まで後退する。
「クリーン。遅くなってごめんね、お姉さん。すぐに終わらせるから。彼女を護り傷付いた心に癒しと安らぎを与えろ、ホーリーサークル」
「うぅ〜あぁぁぁ〜〜」
緊張の糸が切れたのか少女は、声を上げて泣き出した。
そして、少女を中心に1メートルの光のサークルが現れる。インベントリからマントを取り出し、少女にかける。
「てめえ、何者だ」
「それは聞き飽きた。まぁ〜、冥土土産だ。『太陽』と名乗ろう」
「あぁ?ふざけてんのか!?」
「息が臭い、喋るな肉ダルマ」
「ぶっ殺す」
「まぁ〜いいや。懺悔の時間だ。さぁ、お前の罪を数えろ」
「うるせえぇぇぇ」
俺は、刀を巨漢に向け魔力を解き放つ。
「プール、か〜ら〜の〜ボイル」
巨漢の首から下の身体を水が包み込み、動けなくなる。
「てめえ、何しやがる!くっ、抜け出せねえ!解け、ぶっ殺してやるぅぅ」
もがく巨漢。だが、顔には大量の汗が浮かび肌の色が少しずつ赤みを帯びていく。
「あぁ〜・・・あっ・・・あぁっ・・・・・・」
「どう?釜茹で地獄の湯加減は?ジワジワ茹でると無駄な抵抗が少なくて楽だわ」
巨漢は、白目を剥き力なく水の中へ沈んでいく。血行が良くなり、脳の血管が切れて意識が飛んだのだろう。生きているはずがない。
俺は、巨漢を背にして泣きじゃくる少女に声をかける。
「終わったよ、お姉さん。立てるかい?みんなのところに戻ろう」
「ごめん、なさい。まだ、怖くて」
「わかった。嫌かもしれんけど抱き抱えて戻る」
俺が少女に触れるとビクッとして小刻みに震え出した。仕方のないことだろう。
一度、抱き締めて頭を優しく撫でる。
少女は、俺の服の胸元を握りしめて声を出して泣いた。
泣き止むのを待って彼女を抱えて部屋を出る。怖いのか腕の中で硬直する少女。
「ら〜らら♪ら〜らら♪ららららら♪」
優しい曲をチョイスして口遊む。
「優しい、歌ですね」
「歌は、人を楽しませるものだからな。気分が良かったりしたらいつも口遊んでる」
多少寄り道もして無事に牢屋まで戻った。
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