第7話 ・・・なんかごめん。

「クソッ、よりにもよって妹が・・・が拐われるなんて」

「アレン、悔やむのは後にしなさい。救出するにも情報を集めましょう。リコ、ギルマスとレックスを呼んできて。アレン、これまで潰した盗賊のリストとアジトを記入した地図を持って来なさい」

「は、はい!」

「わかりました。場所はどこでします?」

「ギルマスに場所を用意させるわ」


各々、動き出した。

周りの冒険者も聞き耳を立てて自分たちのできることをしようと動き出した。


「あなた、これをお飲み。回復してから拐われたポイントと人数を教えなさい」

「救出作戦に私も参加させて下さい。お嬢様に何かあれば私はこの首を差し出します」

「その忠誠は結構よ。あなたも戦力なのだから」


そして、会議室にて救出作戦会議が行われた。


「最近、潰した盗賊の寝床がこことこことここだ。ここら近辺でだと後はあの大物くらいだろうな」

「お嬢様が拐われたのも東の森付近です」

「東の森ですか。他に情報は?」

「さっき、門番に聞いたがFランクのソルバード、ライムって冒険者が森に向かったと言ってたぞ。それで東の森を見に行ったやつが眼鏡を拾ったそうだ」

「えぇ!?あの2人が!?その眼鏡は!し、師匠、どうしましょう。2人が拐われた可能性がもし、2人に何かあったら私、私」

「落ち着きなさい。だから早急に潰しに行くんでしょ」


動揺するリコ。


「それでは、東の森を探索します。1時間後に出発とします」


ギルマスが音頭を取り、各々準備を始める。


「リコ、アレン、あなたたちは、少し冷静を失いすぎよ。今回は、残りなさい」


師匠に言われてどうするか迷うリコ。

だが、アレンは即座に答える。


「馬鹿言わないでください、先生。家族の命をただ待つだけなんて公爵家の当主としてあり得ません」

「私も行きます。失う前に弟と妹を迎えに」


師匠は、ニヤリと笑う。


「あなたたちの覚悟はわかったわ。準備して来なさい」


そう言って2人に準備を促す。


「手遅れになる前に早く救出しなきゃね」








「ぎぃ、はぁ・・・はあ・・・やっと切れた」

「ん!ありがとう、えっと〜」

「ソルバードだ」

「ありがとう、ソルバード」


ステラのロープをやっとの思いで噛み切った。あとは、俺のロープを解いて貰うだけ。


「・・・!!解けたわ」

「ありがとな、これで自由に動くわ。ライム、すぐに解いてやるからな」

「ひぐっ・・・・・・ありがどう〜〜」


大泣きするライム。ステラが優しく頭を撫でる。


「スキルも魔法も使えないなんてとんだ不便だな。飲水がないのはしんどいぞ」


そう呟いて手に魔力を集めて水の玉を出した。

全員がソルを注視する。


「「「・・・・・・・・・」」」

「・・・・・・・・・・・・なんかごめん。出せちゃった」


なんで俺だけ魔法使えてんの!?

使えるならロープも噛み切らなくてよかったのに!!


「全員に飲水を配るわ。その後、ロープきるから。我は求める。喉を身体を心を癒す清らかな清水。癒し水」


全員の口元に水の玉が浮かぶ。


「ロープのみを切り裂きたまえ。ウォーターカッター」

「すごい。範囲指定と詠唱省略が出来るなんて」

「そこのライムも出来るって。このくらい」

「でもソル君ほど精度がまだないです」


まぁ〜魔力操作の年季が違うからな。

それよりみんな顔色少しマシになって来た。これなら安心して行ける。


「全員に聞いてほしい。助けがいつ来るかわかんねぇ〜し、連れて行かれた人も助け出したい。みんなの安全も保証する。だからこれから起こることは黙っててほしい。頼む」


俺は、全員に頭を下げる。みんな、互いに顔を合わせ頷く。ステラが代表で言う。


「私たちは、あなたに賭けてみます。何が起きても。よろしくお願いします」


そういうとステラは頭を下げ、他の人も同様に頭を下げる。


「ははっ、んじゃ【魔眼】【魔装:漆黒の衣】展開。」



藍色の瞳から深紅の瞳に変わり、魔力が身体を包み込み漆黒のコートに変わる。

髪をかき揚げ魔力で糸を作り束ねる。


「来い、【魔刀:閻魔】」


空間にヒビが入り、そこから漆黒の刀が出て来る。


「誰一人として逃すな。いかずちの鳥籠」


このアジトを取り囲むようにかみなりで出来た鳥籠を形成する。


「この部屋の者を守れ。ミラーフォース」


鉄の柵の前に透明な結界が張られる。

そして、準備万端とばかりにニヤリと笑って言葉を放つ。



「じゃ〜、一狩りしてくるわ」

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