第1話 祝福の儀

俺は、この世界に生まれて7年が経った。

名をソルバード。

父親は、いない。

母親は、俺が生まれて3年経った時に流行病で亡くなった。

そして、今はとある公爵領にある孤児院で生活をしている。


生まれてからと言うもの、この世界の仕組みがある程度、理解するまでに苦労した。


スキルをどう使えばいいのか魔法はどうやって使うのか情報が無さすぎて初めからつまづいた。ステータスを発見したときはビビった。



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  ソルバード

  レベル:1

  種族:人族

  性別:男

  年齢:7

  職業:ー

  属性 :全属性


[スキル]

【威圧Lv3】

【豪運Lv8】


[ユニークスキル](隠蔽中)

【状態異常無効】

【成長促進】

【インベントリ】

【付与】

【完全隠蔽】


[エクストラスキル](隠蔽中)

【魔刀】

【魔装】

【魔眼】

【武の極み】

【魔の極み】

【全察知】

【独自魔法】

【?????】


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あのビッチめ。

適当にって言ったらめちゃくちゃなスキル詰め込みやがった。

なんだよ【?????】って。

しかも中々死ねないって思ったら【豪運】なんてスキルまであるし。


俺は、はぁ〜と溜め息をつき部屋の中にある鏡を見る。

肩甲骨に掛かるくらいの漆黒の黒髪に藍色の瞳。

目付きが悪い(むしろ怖い)が顔立ちは整っていて悪くはない。と自分で思うけど人と関わりたくないと思ってる分、むしろよかった。


バンッ!


「ソル君!そろそろ祝福の儀が始まるよ!」


いきなりドアが開いて入ってくる少女。

俺と同い年の少女。名前は、ライム。

茶髪でセミロング、エメラルド色の瞳はすごく綺麗で顔立ちも可愛い。


「いきなり入って来たらびっくりするだろうが!このドアホ!!」

「あぅぅ。ごめんなさい。でもリコお姉ちゃんが早くしなさいって」

「わかってるよ。今から行く、って腕に抱きつくな」

「気にしない気にしない!早く行こう」


ライムは機嫌良く腕に抱きついてくる。

無邪気なうちは純粋で可愛げがあるからいいけどこれから色々知ってこの純粋さがなくなるんだろうなぁ。


これから行われる祝福の儀。

7歳になる子どもが受け、ステータスの閲覧、魔法属性、スキルを見ることが出来るようになる。

俺?俺はたぶん、転生特典で見れてたんだと思う。


「やっと来たわね。ライム、ソル。あなたたちが最後よ」

「リコお姉ちゃんごめんなさい。ソル君が鏡の前でボーッとしてたから」

「へぇ〜、ソルも外見が気になるお年頃かしら」


そう言ってニヤニヤしてくるのは、俺の従姉妹に当たるらしいリコレットさん。

リコさんは、俺と母さんが来る前に両親を亡くしていて孤児院にいた。

親戚だからと母さんが引き取ろうとしたそうなんだけど学校に入学したら寮に入れるからと断った。

ちなみに母さんが死んで1人になった俺を見つけたのもこの人だ。

そして学校を卒業した今は、お世話になったシスターの手伝いをしている17歳。


「違えよ。眼鏡、新調したいなって思っただけ。それより、この祝福の儀が終われば冒険者登録出来るんでしょ?早く終わらせよう」

「えぇ!?ソル君、冒険者になるの!?」

「ライム?昨日教えたでしょ?身分証代わりに登録しなさいって」

「そうだった。お姉ちゃん!早くしよっ!」

「はいはい。それじゃ〜ライムから。水晶に手を置いて」


ライムが言われたまま水晶に手を置いた。

水晶が光輝いてしばらくすると収まった。


「これで『ステータスオープン』でステータスを見ることが出来るから確認してね」

「ステータスオープン!!」


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  ライム

  レベル:1

  種族:人族

  性別:女

  年齢:7

  職業:ー

  属性 :氷属性(水属性)


[スキル]

【詠唱破棄Lv1】


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「氷属性と水属性だ!【詠唱破棄】のスキルだ!お姉ちゃん!私、魔法使いになれるかな?」

「ライム、すごいわ!あなた、頑張ればすごい魔法使いになれるわ!」


どうやら、ライムは魔法使いの素質があるらしい。


「次は、ソルの番ね!」


そう言われて俺も水晶に手を置く。

光が収まって『ステータスオープン』と唱えた。


「俺も水属性でスキルが【威圧】と【豪運】だけだ」

「あはは。【威圧】も【豪運】も納得しちゃうわ。あんた、ライム以外に怖がられてるし、何度も死にそうなところ助かってるからね」


リコさんが納得したように笑う。


「うるせえ、もう行くからな。リコさん、ありがとう。ライム行くぞ」

「う、うん。リコお姉ちゃんありがとう!」

「気をつけて行くのよ!」


そう言って俺たちは冒険者ギルドへ向かった。

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