第2話


だがな。そのカレカノ関係は本日を以て終わりを告げる。


家に入ると

猛烈に嫌な予感に襲われた。


まるで悪霊に取り憑かれたみたいに

足取りは重くなり肩もずしりと重くなった。


女の喘ぎ声が聞こえ、

更には兄貴シンヤのささやき声まで聞き取れた。


そう、俺なんかが急遽帰宅して

今、現在、家の中にいて、聞き耳を立てていることなど、どうやらお楽しみ中のふたりは

つゆほども考えていない様子だった。


廊下を静かに歩き、二階へと通じる階段を昇る。


やがて、兄貴の部屋の前まで来た。


兄貴の部屋でもあり、俺の部屋でもあった。


ドアの前で立ち止まり、耳を戸に近づけて更に澄ませる。


会話を聞こうとした。



双子ゆえ、部屋の中にベッドはふたつ。

取り敢えず部屋はパーテーションで区切られてはいたが、出来がいい兄貴は両親に溺愛されていたために、部屋のスペースも俺よりずっと広かった。ちょうど、2:1くらいの割合だった。

シンヤに比べて狭い部屋。双子なのに平等ではなかったんだ。


「双子なのに大きさ違うのね...」


「シンジより、シンヤくんのほうが

色々と上手だね...」


アイリの声だった。


俺と兄貴を比べたみたいだった。


シンヤとしても、その言葉に喜んでいると

みえて、


「俺はあいつより全てに於いて優っているんだよ。昔からそれは変わらない」


「勉強も、運動も、顔もさ、それからモノの大きさもさ。

双子なのに俺の方が形とかいいんだ。

全ての点に於いて。

俺の優位はこの先ずっと変わらない」


「寝返って正解だよ、アイリ...」


「ふふっ...。そーかもね。

あいつってば、粗チンかもしんないww」









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