箱女

 まだこんな文章を読んでくれていたのか。ありがとう。この世にはたくさんの傑作小説があるから、こんな文章を読むよりもそれを読んだ方がいい。

 ……なんて言いたい所だが、やはり読んでくれてうれしい。感謝しよう。

 これは単なる私の記録書である。嘘にまみれていることは否めないが、これは全部私自身が行ったことだ。それぞれの世界で「わたし(或いは俺)」が生き、それぞれがそれぞれの顔と名前を持って独立していた。しかしそれらは紛れもなく私自身だった。もしくは、「私が生み出した世界」だった。

 ところで先に挙げたスティーヴン・キングの本は、読んでくれただろうか。本当に良い本なので、未読の方は是非手に取ってもらいたい。本棚に入れて繰り返し繰り返し読むに値する本だ。最後にその一節を君に送ろう。

『私が書くのは悦びのためだ。純粋に楽しいからだ。楽しみですることは、永遠に続けることができる。

 私にとって、書くという行為はときに信仰であり、絶望に対する抵抗である。(中略)子供のころよく使った言葉を借りるなら、“必死のパッチ”で書いた。書くことは人生ではない。だが、人生につながっていることは多い。』

 訳者が「悦び」としているところがまたいい。

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