とある個人ブログの手記③

すみませんね、小目汚し失礼……

私の経緯はだいたい伝えることができたと思う。

正直めちゃくちゃきつかった。

一番幸せになって欲しい人を、自分の手で破壊しちゃったみたいな罪悪感があってね。

あとから分かったことだけど、やっぱり自分の性別を偽っていたのがトラブルの原因だったし、その人を傷つけたのもそれが直接ってわけじゃないけど、まあ原因の一要素だし。

その人の奥さんがね、彼が私と、女の私と通話しているところを見て激怒しちゃってね。そりゃそうだよね。何も知らない人から見たら危なすぎるよね。ネットで会った人が異性で、それで通話しているなんて、やっぱりどう考えても私が軽率だったんだよね。

まあそれで名前も変えて、性別のことも公にしたんだけど、正直嫌だったな。

なんていうか、何もかも知られていないころに戻りたいって思うこともあったな。正直ね。でも、まあ今はみんな受け入れてくれてるし、私も楽になったし。

最初は本当にみんなにびっくりされたけどね。

とにかく一連のことは私の軽率さが招いたことだと思っているから、他の人のことを勝手に悪くは言わないでね。本当に。

まあこんな文章読んでいるもの好きなら大丈夫か。たまに文章とか読んでくれない人がいるからさ。

まあ色々見て思ったのはさ、

多くの人は真実なんか求めちゃいないし、前後左右の文章なんか見てくれないってことなんだよね。たった二百文程度の文でも、私だって疲れていたら頭に入らないし。

キャッチーなフレーズが独り歩き

もう一つ深い井戸を掘ってみよう、なんて人はかなり奇特

こんな文章殆どの人は

興味ない!

切り取って貼り付けて美味しいことだけフォーカスして

コピー&ペーストは楽

作るのは大変

今じゃ原点なんてあたらなくても

耳障りの良い名言も

雰囲気の良いキャラクタも落ちている

加工は簡単

なんて思われたくないけど

井戸に深く潜らない

なんとなくでいいじゃない

まあそれでも別にいいんだけどね

(時間は有限だし)

それでも内なるヒーローが

心の奥で叫んでる

俺は評価が欲しくてやってない

俺は俺の声に従ったんだと


色々な人が私のことを見て色々なことを言って、或いは言わないで――こういう人のほうが圧倒的には多いけれど――去っていった。

普段私はバスに乗っていても、仕事をしていても、用事がないと特に話しかけられることもない。一人で暮らしているから、下手したら休日なんて一日も言葉を発しない。

それでも君たちは語りかけてくれた。ありがとう。まずは何をもっても感謝が先に出て来る。

そうだな、いろんなことがあった。声を上げていなかった二年間、まあそれでもサイトの方はちょこちょこアップしてたんだけどね、イベントの時だけは告知のためにちょっと戻ってきたけど、あの時はありがとう。

ちょうど一年前のイベでは新刊も完売できたし、あの頃はやっと例の騒ぎとかも落ち着いてきて、ってか私が全然アップしなくなったからなんだけど、それでもやっぱりちゃんと待ってくれた人は待ってくれたし。本当にありがとう。

許可貰ってないからさすがに名前は書けないんだけどね、あのイベの時に、すごい遠方から来てくれた人がいたの。その人は女性なんだけど髪が無くって。そう、私の自キャラそっくりの髪型と服装だったのね。本当にアキラのまんま。本当はその相互さんの写メでも全世界に自慢したいくらいなんだけど、我慢。

とにかく本当に私がイメージするアキラにぴったりの人で。すっごい嬉しかったの。そんで思わず私の方からいろいろ話しかけちゃって。で、聞いたら彼女は数年前に『パニック障害』ってのにかかったらしいの。ちょっと調べたけどすごい辛い病気みたい。外にとにかく出られなくなるらしくて。

その人も初めは電車とか全然乗れなくて、田舎にずっといたみたい。でもその中で、私の絵を毎日見るのが楽しかったって言っていたの。もうね、びっくりした。

知っていると思うけど、私はたくさん心無いことを言われたし、それで傷ついて引っ込んでしまったし。もう疲れちゃったのね、この場所が。そんで名前変えて別垢で細々活動してたんだけどさ。なんか、あの言葉にね、救われちゃったんだよね。変な話だけど。

ん? って思うよね。ごめんね変だよね。でも事実なんだ。

なんていうかね、自分が今までやってきたことが肯定された気がしたんだ。あ、これで良かったんだ、って。もちろん私の作品見ている人たちはさあ、私が「誰かを救おう!」なんて大それた動機で描いてるわけじゃないってことはわかるよね。ただ自分の欲を満たしたいってのもあるし。

たださ、やっぱり自己満足ばっかりで、自己満足と他人受けのどっちもできる描き手さんたちにはすっごく憧れたりしてたよ。私の描くものは全年齢に受けるものじゃないし。

でもね、とにかくもう、ああ、これで良かったんだ、って思ったんだよね。とにかく。なんかね、作品ってさ、作ることで自分を癒すって言うか、自己治療っていうか、満たしている側面もあるけどさ、こう、改めて「読者から救われる」こともあるんだなあ、って思ったんだよね。

〇〇さんなんかはさ、いちいち私の絵に好きなとこ書いて送ってくれるしさ。神だよ。二次、三次創作もあるしね。ありがたいことに。

あーなんかいい話になっているな?

そうそう、何が言いたいかって言うとね、

創作で人を幸せにしたいな、って思ったの。

もちろん怖い絵とか、見ていて辛くなる絵とか、思わず泣いちゃうものとかあると思う。でもそれでも、何か見た後に自分が「どこか違うところに移動しているな」って思えるような、なんていうんだろうな、今までとちょっとだけ何か新しいところに行けたな、ってね、そう思えたらいいなって思うわけ。

感想もそうだよね。感想だって、反応だって、ちゃんと応援になってくれていると思う。暗くて何も見えない中で一人歩いているのと、灯りをともしてくれる人がいるのでは、全然違うと思うんだよね。ちゃんと灯りは作者さんに届くし、それで作者さんたちは道が見えて、ずいぶん歩きやすくなると思うんだよね。たださ、中にはそのくらい誰もいないように見える道を、歩きづらくするやつもいるからさ。

結局さ、私たちって幸せになるために創作してるわけじゃん。自分自身でもいいし、誰かをでもいいし、なんでもいいんだけど(どっちもエゴだし大差はない)、とにかく誰かを幸せにしろって話。少なくとも誰かの足引っ張んなって話。

私は創作なんて突き詰めると愛の行為だし、セックスなんて究極の創作だと思ってんだけどさ、くだらん足引っ張るくらいならセックスするか大人しく同人でも読んでろって話。自分が幸せになることだけにフォーカスしてほしいのよね。正直。

創作なんてね、趣味でやっている分には自家発電よ、自家発電。わかる? もっとちゃんとした言葉で呼んであげようか? オナニーのことよ要するに。自己治療にもならないオナニープレイ……。でも別に自家発電しても悪くないでしょ?もしもちゃんと相手のこと考えてセックスできるようになったら、それは本当に素晴らしいものになれるかもしれない。或いは、自家発電でも、そこに魅力があれば私たちだって気持ちよくなれるかもしれない。かもしれない。

この前ある本を読んだらね、そこに面白いことが書いてあった。ちょっと待って、今ちょっとひっくり返して引用してみよう。

そう、これこれ。

『この世で最も静かで尤も暴力的な行為、それは読書です。作者とは無力なもので、読まれてしまえばあっさりその座を次なる読者に譲ってしまうほかない、暫定一位の、last(=一番最近)の記録保持者、読者なのです。(※2)』

けっこうおもしろいよね。この本には「『書く』とはつまりは、世界なりなんなり今までインプットしてきたことを『引用しているに過ぎないのかも』」みたいなことが書いてあるんだけどさ、たしかにねって思ったよ。

結局私たちって食べた物しか出せないし。

読むのは暴力。他人の描いたものや世界を自分のものにすること。

じゃあ書くのは?

書くことはね、全然暴力的じゃないと思う。だって食べたものを出したところで、特にみんな興味ないでしょ? いつだって食べたい人たちだけが食べるし。他人が吐き出したものなんか、特に見なくても生きていけるしね。

でも書いたものを発表する行為は?

それはいささか、少しは暴力的かもしれない。誰だって吐き出されたものを触れるのは嫌だもんね。綺麗にまとまっていたらまだしも。

不思議だね、法律的には、法律的には七十年経たないと(権利として)作品が自分の手から離れないはずなのに、不思議だな、読むという行為を通じて、他人のものを自分のものにしてしまうんだな。これはやっぱり暴力だよ。そうとしか思えない。

だからここまでこんなだらだら長ったらしい文章を読んでいる君はやっぱりすごく暴力的なんだな。


でもさあ、これまでさんざ愚痴言っておいて手のひら返すようだけど、結局好きに受け取ってくれるのが一番だよね。そりゃ変な言いがかりとか中傷とか、転載とかは駄目だよ。でもね、当然受け取り方なんて人それぞれなわけで。タイミングとかバックグラウンドとかあるし。

だからほんとさ、好きに皆言ってくれていいよ、って思ってる。基本的にはね。あることないこと言われるのはさすがにダメだけど、感想とかは強要できないからね。

まあ、こっちも全力で好きにやるし、みんなも好きにすればいいんじゃないかなってだけ。そこを制限する権利は今んとこ誰にもないし、誰にもあっちゃいけないから。

ってか普通に生きてて、大勢の人が私の作品なんか見てくれる機会なんてないんだけどさ。

普通はスルーだよね。誰の目にも止まらなくて。

だから見てくれただけで万々歳。

その中でもちゃんと普通に意図を組んでくれた人が七割、

残り二割は私の作品と合わなかったり、タイミングが合わなかったりした人。

残り一割は……いや、もっともっと少ないかもしれないけれど、褒めてくれたり、感想を言ってくれる人。

ざっとこんな感じかなあ。

まあ、なんにせよ足を止めて、見てくれただけで儲けものだよね、って話。


あと最後に。

この文章読んでる人で、創作している人がいたら私はめっちゃ応援する。だって何言われるのかわからないし、そもそも誰も見てくれないかもしれないわけでしょ? それでもリングに上がり続ける人たちをさ、嫌いになんかなれないよね。

だから足引っ張ったり、作家さんを自分の思い通りにさせたい、って人は、悪いけど大人しく性癖のことだけ考えててほしい。そのほうがまだ世界平和につながると思うから。

相変わらず長くなったけど最後に

ここを見てくれた人、反応してくれた人、頑張って書いてる人、いろいろ今までのことを考え直している人、

みんな・好きだよ!


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