注釈

この世で最も侵略的な暴力行為は「読む」ことである、と考える人がいるかもしれない。我々が死んだ生き物を取り込むことで、生かされているのと同様に。

しかしそれとて、読むことでその人自身を破壊しているのに過ぎないのである。

つまり創造とは破壊を内包するプロセスであり、破壊とは創造を内包するプロセスなのである。それをうまく整えるのがいわゆるクリエイターの仕事なのだろう。かつては『見ることには愛があるが、見られることには憎悪がある』※3とも言われたが、それとて愛の中に憎悪が、憎悪の中に愛があるだけに過ぎない。それはただペンローズの階段のようなものだ。表裏一体。それは暴力でもあり、前進するためのエネルギーでもある。

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