とある個人ブログの手記
たくさんの人がここを去った。
たくさんの人がここにふらっと来ては見ていった。
たくさんの人がちょっと覗いては消える。
ここに留まっても得るものが少ない。それに気づいた者から消えていった。
一人、また一人と音もなく消えてゆく。
誰かに見られないならば作品を作る意味はないのだろうか?
そうなのかもしれない。
それはただの自己満足だ……
(自己満足で何が悪い……趣味だろそんなの……文字が世界を変えると思っちゃ大間違いさ……そんなの戯言だよ。戦争地の子供に、病気の子供に同じことを言えってんだ……ああでもそれでも君は、まだフィクションに救われたとか言ってるんだね……頭の中お花畑かい?
いいかい、小説に救われるやつはたとえ旅に出ても棒に当たっても何かに救われるんだよ。本当の話ね。
わかったか?
それにね、書き手が誰かを救えるとか言うなよ。救われたと言っていい権利はいつも受け手さ。わかったかい。自分が誰かを救ったなんて決して思い上がるんじゃないよ。たまたま読解力と共感性の高い連中がたまたまお前の作品を読んだだけさ……。いまにわかるさ。物語に救われる連中はどのみち物語がなくても自分で学ぶのさ。だからいつまでもライ麦畑に留まってるんじゃないよ。まったく。)
…………
何を言いたかったんだっけね?
こうやって時折声がするんだ。心の声ってやつさ。自分なのか自分じゃないのかなんてわからない。
それは僕じゃない誰かの集合体さ。
どっちみち大したやつじゃない。
きちんと世界を信じてさえいればね。
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