第八夜:ちょっと怖い大学生百合
『クラッシャーサークル・クローズド』
私がオタサーの姫をやっているミス研に、サークルクラッシャーが入部してきた。太腿に大量の正の字を彫っている異常な女は、手始めに私をホテルに連れ込んで抱く。サークラは信じられないほど上手く、私は一年かけて作り上げた己の巣の崩壊を悟った。
けれど、サークルが壊れたのは性の乱れが故ではなかった。神経毒にやられて、部員が毎日一人ずつ病院送りになっていくのだ。私に骨抜きにされていたミス研部員は、犯人特定に熱を入れ始める。謎のプライドによって外部の干渉を拒んだサークルは、タチの悪い閉鎖空間になっていった。緩やかに崩れゆくコミュニティの中で、サークラだけが呑気に爪を塗ってくつろいでいる。
そんな中、私は偶然犯人を突き止めてしまった。ベタな展開ではあるけれど、毒を盛っていた犯人はサークラだった。加湿器を巧みに使ったトリックで毒を撒いていたサークラは、私に睡眠薬を嗅がせて自室に連れ込む。正直死を覚悟したけど、乱暴に抱かれるだけで終わった。マニキュアが毒じゃなくて良かったなと、指を拭く姿を見て思う。
それ以来も、ミス研の人数は減り続けている。三十人近い大所帯だったのに、もう一桁になってしまった。けれど私は犯人を告発しない。お利口な私は、サークラの寵愛を受け続けている。人の安全と己の快楽なんて、天秤にかけるものじゃないとは分かってる。でもあと一晩だけ、もう一晩だけ。
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