第23話 魔王領探索 中編
翌朝、次の村へ行くためこの村『シュテン』を後にしようとしたところへエルドラ達がやって来た。どうやら見送りに来たらしい。
「皆様、此度のご訪問誠にありがとうございました!!そして、これからの道中お気を付けて行って下さい!!我等一同、いついかなる時も歓迎致します!」
「あ、あぁ…お前達も人間達に気をつけるんだぞ」
「勿体なきお言葉、ありがとうございます!」
「レイリス様ーー!ユキ様との結婚の儀を行う時は私達を呼んでください!お願い致します!!」
「てめぇ!抜け駆けしてんじゃねぇぞコラ!オ、オレもお願い致します!」
「馬鹿野郎!そういうのは族長である俺の特権だぞ!」
「いくら族長でもこれだけは譲れません!!」
「いいだろう。ならば
「族長、それは優勝したやつが見に行ける権利を得るという訳ですね?」
「その通りだ」
「キタァァァーーーーーー!!」
「ワタス、
「オレっち………この日のために鍛えてきたんだ。相手が誰であれ全員ぶっ倒してやるぜ」
「そう簡単には勝たせないわよ!」
「そうだ。鍛えてきたのはお前だけじゃないんだぜ!」
「燃えてきたーー!!」
「よっしゃー!レイリス様達を見送った後に始めるぞヤロウ共!!!」
「「「オオオオオオーーー!!!」」」
「では改めて、この先の見回りもお気を付けて行って下さい!」
「あ、あぁ………」
バルバが顔を物凄く引き攣らせながら、どうにか返事をし、俺達は『シュテン』から出て行った。
シエス以外の全員の顔が引き攣っていたな。
「よ、ようやくあの村から出れたわい………」
「なんなのよあの村は!?」
「いやぁ…前回の時よりもパワーアップしてたな…」
「慣れてる私達ですら若干引くレベルでしたからね…」
「我もだな、特に最後のやり取りが…」
「俺は特に何も感じなかったな」
「わたしも」
「ユキはともかくシエスちゃんもじゃと…」
「ま、まぁ…シエスはユキ以外興味ないからじゃないかアルフの爺さん」
「そ、そうじゃの…」
「バルバ、次の村はどこだ?」
「次の村はハーピーとラミアが住んでいる村だな」
あの村か………
「ねぇ、ハーピーとラミアの村もエルドラ達みたいな感じじゃないわよね?」
「安心して下さいレイリス様。あの村のオーガ、エルドラ達が特殊すぎるだけであって、魔王領にある村の雰囲気は、ブイとほぼ同じです」
「そ、それならいいわ」
「なんだ?トラウマにでもなったか?」
「当たり前じゃない!!」
「儂もトラウマになってしまったぞ…」
通常の奴ならたしかにトラウマになってもおかしくない感じだったな。
「シュテンから出発したばっかりだが、疲れてるなら、しばらく休憩して次の村へ行ってもいいがどうする?」
「儂は大丈夫じゃ」
「あたしも休憩しなくていいわよ」
「ならさっさと行くとするか。バルバ、また案内を頼む」
「分かった。レイリス様、アルフ殿、シエス殿、休憩したくなったらいつでも言って下され」
「ふう………着いたぞ。ここがハーピーとラミアが住む村、クレシェだ」
『シュテン』を出発し、所々で休憩を挟みつつ歩き続けて約3時間くらいか?俺達は次の目的地であるハーピーとラミアの住む村『クレシェ』に着いた。
上空から見ていたのか、着いたと同時に1人のハーピーが目の前に降り立った。
「半月ぶりでございますバルバ様、ユキ様。そして初めましてレイリス様。今回はどのような件でいらしたのでしょうか?」
「今回もただの見回りだ」
「了解致しました。では私は長の元へバルバ様達がいらした事の報告をしに行きます。バルバ様達は茶屋でのんびりと休憩をなさってから長の元へ来ていただければと思います」
「分かった。30分後くらいに向かうと長に伝えてくれ」
「了解致しました、バルバ様」
そう返事をしたハーピーは長の元へ飛び去って行った。
「茶屋ってことはお団子とかあるの?」
「もちろんありますよレイリス様。ささ、私が案内しますので付いて来てください」
「分かったわ」
「ファニス、我とアルゴ、アルフ殿はこの辺りで休憩しておく。済んだらここへ戻ってきてくれ」
「了解です隊長。では行きましょうかレイリス様、ユキさん、シエス」
「ユキ殿、何も問題ないと思いますがレイリス様達の事よろしくお願いする」
「あぁ………」
「ここですね目的の茶屋は」
「ここのお団子美味しいの?」
「もちろんです!」
バルバ達と別れ2、3分程歩くと目的の茶屋に到着した。そういや、前に来た時はそのまま長の元へ行ったから、ここの団子は食っていなかったな…
中へ入り、席へ着き、人数分の団子を頼んだ。
「そういえば、レイリス様とユキさんの結婚の儀っていつ行われるんですか?」
「魔王が言うには例の作戦を始める半月前辺りにやるらしい」
「そうですか」
「あたし的にはもっと早くやってもいいと思うんだけどね」
どうでもいい事を話していると、頼んだ人数分の団子を持ったラミアが来た。
「はい、お待たせ。一緒に飲み物も置いておくからのんびりしていっておくれ」
「ありがとう」
団子と飲み物を置いた後、ラミアはすぐに店の奥へ引っ込んだ。
「ささ、食べましょう」
「………結構美味しいわね」
「うん、美味しいね」
「たしかにな。後でレシピ教えてもらうか?」
「ユッキー……流石にそれは無理じゃない?」
「私もそう思いますユキさん」
茶屋での休憩を済ませた後、バルバ達と合流し、この村の長の元へ足を運んだ。
「今回も突然来て悪かったなオファニ殿」
「大丈夫ですわバルバ様」
この村の長オファニは、ハーピーの上位種族のハーピークイーンとやらで、バルバに惚れ込んでいる奴だ。
「レイリス様とエルフのお爺様は初めましてでしたわね。初めまして、クレシェの長をしておりますオファニと申します」
「儂はアルフじゃ」
「よろしくオファニ」
「それでオファニ殿、ここ最近何か起きたりしてはいないか?」
「そうですわね………あっ、たしか見回りの子が、数日前にユキさんと同じ髪色をした人間を2人ここから北へ数キロ行った付近で見かけたと言ってましたわ」
「それは本当か?」
「はい、恐らく冒険者かと思いますわ」
俺と同じ髪の色をした人間か………恐らくクラスメイトの連中だな。
「分かった。その件は我等が調査しよう」
「ありがとうございますバルバ様」
「気にするでない」
「バルバ、早速そいつらを探しに行くぞ」
「了解だ。オファニ急で悪いがこれにて失礼する」
「分かりましたわ、けど次はもう少し長居して下さいね」
「………善処する」
オファニに別れを告げ、俺達は『クレシェ』を発った。
「ユキ殿、先程オファニ殿が言っていた人間の事であるが…」
「多分俺の元クラスメイトだろうな」
「それって、ユッキーを殺そうとした人間達の事よね?」
「そうだ」
「という事は、そいつらは殺してもオッケーという訳だな」
「アルゴ、その役目は私がしますよ」
「なら競争だな」
「それ、わたしも入っていい?」
「はいはーい、あたしも競争に参加するわ」
「シエスとレイリス様もですか…」
「ユッキーを殺そうとしたことを後悔させてやるわ」
「レイリスに同じく」
「愛されておるのぅユキ」
「あっそ…」
アルフがニヤニヤしながら俺にそう言ってきた。相手にするのは面倒だからスルーしておく。
さて、本当に
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