閑話 休憩Ⅱ
「…………ここまでで、魔王領に初めて来た時の話の前半部分は終わったな」
「つまり、ここからあたしとのラブラブな生活の話が始まるわけね」
「む………それはわたしだよ」
「いや、あの時はどちらともそんな関係じゃなかったぞ………」
シエスとレイリスが言い争っていると、再び部屋に設置してある来客用の転移魔方陣が光った。
「フハハハハハ!遊びに来てやったぞ!我が
「ユキ殿、お邪魔するぞ」
「ユキ遊びに来たぜ」
「ユキさん、隊長達がすみません……」
「
「悠貴、昔話をするなら僕を呼んでよ~」
魔法陣から現れたのはベルゼとバルバと邪神ズワルト、アルゴにファニス、そして人間状態のディアナだ。
…………人口密度が一気に上がったなおい…
「おいベルゼ、ラグエルはどうした?」
「我が息子ならもう少しでこっちに来るぞ。少しばかり厄介な仕事をしているようだったからな」
「なら手伝ってやれよ…」
「フハハハハハ!次期魔王の候補だからな。余程の事ではない限り手出しはしないと決めておるのだ!」
「厄介なのはほとんどあたしの案件なんだけどね」
「お前ら…………少しはラグエルを労わってやれよ…」
魔王城で「過労死するわバカヤロー!!」って叫んでいるラグエルの姿が目に浮かぶな…
ラグエル、もしヤバくなったら俺に連絡してこいよ…
「してユキよ。どこまで話したのだ?」
「ベルゼ、お前に魔王軍参謀にさせられたところまでだ」
「フハハハハハ!あの時か!懐かしいな」
「魔王様のほぼ独断だったとはいえ、他の隊長達がユキの参謀への昇格に賛成したこと、未だに信じられねぇよな…」
「それは我も同意だ」
「それはユキさんの人徳のおかげです。それはそれとしてユキさん、私とも子供を作ってくださいお願いします」
「それはダメだよファニス」
「そうよ!ユッキーを狙う輩は多いのよ。もし、あたし達以外に特例みたいなのを作っちゃったらユッキーが大変なことになっちゃうじゃない!」
「ファニス、お前まだユキの事を狙っていたのか…」
「当たり前です!こんな素晴らしい男性、他にいませんからね!」
「いや、探せばいr」
「ア・ル・ゴ?」
「いえ、何でもないです…」
ファニスのように俺へ好意を見せる奴はそれなりにいると思っていたが、そんなに多いのか?
アルゴがファニスに詰め寄られ、そのファニスに詰め寄ろうとしているシエスとレイリス。そして俺の膝上でカオスになっている惨状を理解できずに戸惑っているマリンとミネル。空気になっているベルゼとバルバを眺めていると、ズワルトがディアナとこそこそと何か話し始めた。
「アハハハハ!やっぱり君達といるととても楽しいね」
「
「ディアナ、君も悠貴の事を狙ってるんじゃないの?」
「何当たり前の事を訊いているのですか?」
「あ、うんごめん。そんな何言ってんだコイツみたいな目で僕を見るのをやめてもらえるかな…」
「解ればよろしいのです。それと言い忘れていましたが、
「へぇ~子供が生まれる…………子供が生まれる!?」
「「「誰の子供が!?」」」
俺との子供が生まれる?何言ってんだディアナの奴。俺はお前とそういった行為を一度たりともしてないぞ。
で、案の定、ディアナの爆弾発言にシエス達が食いついた。ファニスから解放されたアルゴは、バルバとベルゼの元へ逃げるようにいそいそと移動した。
「ユキ!一体どういう事なの!?」
「何時ディアナとヤったのよ!?」
「ユキさん、次は私ですよ!」
「「ファニスは黙ってて!!」」
「いや、俺もディアナとヤった事なんか記憶にないぞ。どういう事だディアナ?」
「まさか覚えていないのですか?私とあんなに乱れた夜の事を…」
「ユキ…………」
「ユッキー………」
なんとも悲しいというような表情を作り出し演技するディアナ、そして演技に引っ掛かるシエスとレイリス。
「まぁ、それは嘘なんですけどね」
「嘘なんかい!?」
「なら子供も嘘なの?」
「いえ、子供が出来たのは嘘ではありませんよシエスさん」
「わけがわからないよ…」
俺もわけがわからんぞおい…
で、空気になっているベルゼ達はというと…………
「バルバよ我輩、いきなりの急展開に全く付いていけないんだが大丈夫であるか?」
「我も付いていけてないので大丈夫です魔王様」
「寧ろ、付いていけない事の方が良さそうです魔王様」
「僕が切欠になって、こんなカオスな事になったけど僕も付いていけないよ。とりあえず悠貴、この修羅場、どうにか自分一人で潜り抜けてね。僕等は何も出来ないから」
最後にグッ!と親指を俺に向けて言い切ったズワルトの事をぶちのめしたい衝動に駆られたが、今はディアナの件を片付けるとする。じゃないと一向に話が進まないからな。
「ディアナ、いい加減真相を教えろ」
「もう少し、シエスさんとレイリスさんの怒った顔をみたかったのですが仕方ないですね。まず、私と
なるほど、偶に朝起きた時腰が痛い時があって寝返りが打ててなくてそうなったのかと思っていたが、ディアナにやられていたとはな…………
「ディーーアーーナーー!!」
「これはギルティだよディアナ」
「ふむふむ、私も参考にさせていただきます!」
「参考にするんじゃないわよ!」
「シエス、レイリス。やっちまったもんは仕方ない受け入れろ」
「流石は
「ユッキー、分かったわよ…」
「…分かった」
ディアナの件を強制的に終わらせると、事が終わったことを確認したのか、男性陣がこちらに移動してきた。
「…お疲れ様だユキ殿」
「少しはフォローしてくれると思ったんだがな」
「ユキ…流石にアレに巻き込まれるのはスマンがごめんだぜ」
「我輩もだ。すまないなユキ、フハハハハハ…」
「まぁいい。で、お前ら、昔話の続きをしていくが聞いて行くのか?」
「もちろんですユキさん。仕事は…少しありましたが今日やる必要はありません!」
「おいファニス、お前の言うその仕事ってまさか…」
「アルゴ…こうなったファニスは我達の言うことを聞かぬ。万が一の事が起きても責任はファニスに取らせるから問題ない」
「…そうですね」
「無論我輩も残るぞ。マリン達とも遊びたいからな」
「分かった。なら場所をリビングへ移すぞ。この人数じゃこの部屋だと狭すぎるからな」
場所をリビングへ移し、人数分の飲み物を持ってきた後、俺達はソファにベルゼ達はそれぞれ
「飲み物も行き渡ったようだし続きを話し始めようよ悠貴」
「元々誰のせいでこんなに時間がかかったと思ってんだ…」
「ごめんって。というか、ディアナの件に関しては僕も予想外だったから許してよ」
「…まぁいい。ごめんなマリン、ミネル再開するのにだいぶ時間がかかった」
「途中から何を話してるのか解らなかったけど大丈夫だよパパ」
「ミネルも解らなかったけど大丈夫だよお父様」
「そうか……」
「ユキ殿もすっかり父親だな」
「ですね隊長」
「わ、私もいずれ…」
「フハハハハハ!ではユキ、続きを話すのだ!」
「はいはい、分かったよ」
そして、俺は続きを話し始めた。
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