第一章 ロゼ王国脱出編
第1話 異世界転移
なにもない、真っ白な空間に約30人程の学生服を着ている男女と1人大人の男が倒れていた。
「いっつ…大丈夫かお前ら?」
「私は大丈夫です、先生」
「俺も〜」
「いたた…それにしても、ここ何処だよ?」
「さぁ?」
「あの世とか?」
「そっか……私達あの時…」
「高校生で死んじゃうなんて~」
「ほんと最悪……」
「くそっ!全部あいつのせいだ!」
「そうよ!全部あいつのせいだわ!」
急に怒りだした2人は横たわっている男子生徒のもとへ歩いていき、蹴る、踏みつけるなどの暴行を始めた。
「お前さえいなければ!」
「死んじゃえ!この祟り神!」
「(いてっ!ってここは一体何処だ?)」
祟り神と呼ばれた男子生徒、
「(たしか、林間学校に行く途中、乗っていたバスにトラックが正面衝突したまでは覚えているが…それにしても、この空間は一体なんだ?ネット小説でよく見かける転生させる空間とかか?そうなると本当に転生でもするのか?)」
悠貴はクラスメイトから暴行を受けながら死ぬ直前のことを思い出しつつ、現状について考察していた。
「こらこら、いじめは良くないよ」
「だ、誰!?」
「簡単に言えば、神かな?それと実は君達死んで無いよ」
突然現れた光る黒いヒトガタは、笑みを浮かべながらそう答えた。
◇
神と名乗るヒトガタが俺達全員を集めると、アンケート用紙みたいなのとペンを渡してきた。
「神様、このアンケートはなんですか?」
「ただのアンケートさ。特に意味は無いよ」
「そうですか……」
今、自称神に質問した奴の名前は
そんで、アンケートの内容だが……
・あなたは人間が好きですか?
・知識と力、どちらが欲しいですか?
・勇者になりたいですか?
・一つ能力を得られるとしたら、どんな能力を得たいですか?(ただし不老不死とかは無理だからね)
って内容だ。
先ず1つ目だが……好き嫌い以前に興味が無いだ。
2つ目は知識一択。力なんて努力次第でどうにかなるだろ。
3つ目は興味無い…だな。
最後は……どうしようか…
「みんな~、あと1分で回収するから早くしてね~」
「ちょっ!?制限時間短すぎ!?」
「もっと時間ちょうだい!」
「それは無理だよ~」
あと1分…仕方ない。最後の答えは翻訳能力、これにするか。
「はい!時間だから回収するよ」
自称神は手を叩き、俺達の手元にあったアンケートを自分のところへ一瞬で移動させ、手元に集めたアンケートを読み始める。
一通り全員のアンケートを読み終わるとこう言い放った。
「それじゃ、魔王討伐(笑)を頑張ってね!」
最後になにかふざけたことを言っていたが、俺達は眩しい光に包まれていったため、質問することが出来なかった。
目を開けるとそこは、どこかの食堂みたいな場所だった。
「すっげー!まじで異世界きちゃった!?」
「うひょー!たまんねぇぜ!」
「ケモ耳少女はいるのか!?」
「俺もケモ耳見たい!!」
「イケメンの騎士様はいるのかしら!?」
「探すわよ!!」
「ワタスはエルフを探す!同志の者は付いて来い!」
「「おぅ!!」」
「嘉音君大丈夫?」
「大丈夫だよ楓ちゃん」
他の連中もあーだこーだ叫びやがるから、五月蠅すぎて耳が痛い……
この騒ぎを聞きつけたのか甲冑を着た兵士と王族っぽい人が現れ、俺達を見るなりこう告げた。
「勇者諸君、よくぞこの世界へ参られた。心より歓迎しようぞ」
「はい、ありがとうございます!」
今返事をしたのは不知火嘉音だ。
「ではまず自己紹介をしておこう。私はこの国、ロゼ王国の国王、クライム・ロゼである。そしてお主達を呼んだのは、この世界を支配しようとしている魔王ベルゼを倒してほしいからだ」
魔王討伐……さっき神が最後に言っていたやつか。まぁ、俺には関係ないことだな。どうせ不知火嘉音辺りがどうにかしてくれるだろ。
「それは大変だ!国王様、僕達全員で力を合わせて魔王を討伐してみせます!」
「俺もやるぜ!」
「オレは魔王討伐のついでにハーレムを築いてやる!」
「それいいな!」
「それならアタシは逆ハーよ!」
「先生も頑張るぞ!」
「ありがとう皆の者。では、お主達の力を見たいので1人ずつこの者の前に出てくれたまえ」
国王の言葉の後、水晶玉のようなものを持ったやつが出てきて、俺達を1人ずつ鑑定?し始めた。
「次、不知火嘉音!」
「は、はい!」
「ほうほう、君の力は……っ!?これは素晴らしい!!さすが勇者様です!」
「これが僕の力……」
空中に、コイツの情報がゲームとかでよくあるようなウインドウででてきたので見てみる。
不知火嘉音 18歳 男
勇者
力 1500
耐久力 1500
魔力 1500
俊敏性 1200
知力 1200
能力 主人公
これがコイツのステータス?だ。能力の主人公ってのはよく判らんが、コイツの関わることがすべて
「不知火すげー!マジチートじゃん!」
「やっぱり嘉音君はすごいね~」
「キャー!嘉音様ステキ過ぎー!!」
「さすが、ボク達の嘉音だ!」
「次はオレだな!」
次々と他の連中の確認が終わっていき俺の番になる。
「……最後は君だね」
「あぁ……」
俺が出てくると、俺の容姿が気に食わないのか不機嫌そうな感じで対応してきた。
んで、俺の鑑定が終わったわけだが……
矢神悠貴 18歳 男
力 50
耐久力 60
魔力 60
俊敏性 40
知力 300
能力 翻訳
なんという知力極振り……まぁ、別にどうでもいいが…
能力の翻訳は多分、この世界における全ての言語を理解できるってものであろう。一応、神と名乗ってたやつからもらえたみたいだしな。
それと、この世界の一般人は50前後が平均らしい。つまり俺は知力以外一般市民とほぼ同じステータスというわけだ。まぁ、不知火嘉音のようにもてはやされるのは面倒でしかないから、これで良かったと思う。因みに、空中にステータスが表示されたのは不知火だけだった。
「では諸君、今日はこれ以上特にないのでゆっくりと英気を養ってくれたまえ。休む部屋については後程、使用人達から伝えておく」
そう言って、国王は食堂から出ていった。そして、俺はこの世界の事を知るため、城にあるであろう図書館のようなものを探そうと部屋を出ようとしたら、3人の男子と教師に捕まった。
「おい祟り神、お前のステータスってどんな感じだ?」
「………………………」
「もしかしてオール1なのか?」
「マジで!?テラワロスww」
「もしそうだとしたら先生が鍛えてあげるから、さっさとステータスを見せろ祟り神」
見せても面倒なことになるのは目に見えてるため、無視して食堂から出ようとしたら、突然後頭部を殴られた。
「っ!?」
「このゴミクズ!俺達を無視してんじゃねぇぞ!」
「これは躾が必要だね」
「オレも参加するぜ」
「人間サンドバック最高だぜ!」
こうなったら、コイツらが飽きるまでボコられ続けるしかないな現状では…
耐え抜こうとしてはみたが、最初の一撃が効いていたのか俺は途中で意識を失った。
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