第2話 クラスメイトの陰謀
「ここは……食堂か…」
目が覚めた場所は食堂の隅っこ。おそらく気絶した俺を邪魔とか言って、隅っこにでも投げ捨てたんだろうな。
しかし、こちらの世界に来た影響でクラスの連中の力が上がったせいか、いつもより身体が痛い…
「さて、夜になったが図書館?でも探して情報収集するか。腹は……問題ないだろ」
身体はかなり痛むが、一応動けるな……
食堂を出て、図書館のようなところを探すため暗い廊下を少しずつ歩いていった。
城内を歩き回ること数十分、ようやく図書館のようなところに着いた…時々使用人に見つかりかけたが、気配を薄くしてやり過ごした。
ここで探すのはこの世界についての本、魔王に関しての本の2つだな。後、もしこの世界で魔法が存在するのなら魔法に関しての本も探さないとな。
本探し始めて5分程、蔵書が多いためか目当ての本をすぐに見つけることができたため読み始める。
俺達が転移によって来てしまったこの世界の名は『パラガ』。そんで、俺達が今居るここはロゼ王国の首都ロゼ。ロゼ王国の北には商業都市であるダリル王国、南には武装国家のガルラ帝国。東には亜人が住む街等がある大森林があり、西には魔王と魔人族、多くの魔物が潜んでいると言われている魔王領なるものがある。
200年に一度くらいのペースで魔人族や魔物を率いる魔王と、勇者率いる人間とで戦争が行われているらしい。エルフやドワーフなどの亜人も存在しているが、完全な不干渉を貫いているのだそうだ。次に魔王に関してなのだが、倒す→復活→倒すみたいなものではなくて、その都度魔王は変わるらしい。今回の魔王がどんなやつかは会ってみないと判らないけどな。
そして、やはりというべきか、この世界に魔法は存在した。属性があり、火、水、土、風、雷、時空、光、闇の8種類で、基本的には詠唱とやらをしなければいけないようだ。
また、無詠唱は出来るのかどうかについて調べてみたが、記載されていなかった。だが、試しに無詠唱をやってみると普通に魔法が使えた。イメージをしっかり固めることで唱えることができるようだな。
一通り目当ての本を読み終えた後は時間を忘れ、全属性の魔法に関する本を読み漁っていった。
「……いつの間にか寝落ちしてたか。にしても、やはり魔法は便利なものだな……」
昨日、光属性の治癒系魔法を使い
昨夜のことを振り返っていると、俺の腹が鳴った。そういや、こっちに来てから何も口にしてなかったな……
「食堂行って、何かもらえたら食うか…」
歩くこと約10分、食堂に着いた。扉を開け、中に入ると、クラスメイトと国王、そして王子と王女みたいなやつがおり、全員が一斉に俺を見た。特に国王達は敵を見るかのように俺を見ている。
クラスメイトの連中なら解らないでもないが、何故国王達もそんな目で俺を見るんだ?そう思っていると、その疑問は国王から発せられた言葉とクラスメイトの反応で解決できてしまった。
「ユキ・ヤガミ!貴様は周りの人々に災厄をもたらす存在。よって、貴様を処刑する!」
「ようやく祟り神が死ぬぜ!」
「お前みたいなのは生きる価値なんてねぇんだよ!」
「はやくアタシの視界から消え失せて」
「ストレス発散用の人間サンドバックが無くなるのはもったいないが、仕方ないな」
「大丈夫だって先生。ストレス発散は魔物にでもぶつけたらいいんだから」
「たしかにそうだな」
「俺らにはチートがあるからな!」
「そのゴミみたいな姿をこれから見なくて済むって思うと、とっても嬉しいわ!」
「皆にとって危険な存在なら仕方ないよね」
なるほど、このゴミ共は国王に「俺が危険な人間である」的な事を吹き込んで俺を殺してもらおうと考えた訳か…
そんなに殺したいなら自分達でしろよ。殺す機会ならこれまで幾らでもあっただろうが……
「こやつの処刑は今夜決行する!それまで地下牢に閉じ込めておけ!」
「はっ!」
今抵抗しても確実に逃げ切れる算段はないから大人しく捕まっておこう。
「自分の立場を良く弁えているな。実に良いことだ」
兵士はニヤニヤしながら、俺に手枷をはめて牢屋まで引っ張っていった。
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