第3話 伝説の始まり ~NewGame~
長くプレイしていた
彼は長年のライバルとも言える存在、クレナ……そのアバターを操っていた
様々な感情を持ちながら家に帰った迅翔は、早速
そしてメールに届いていたプロダクトコードを入力し、
「……さてと」
いくら時代が進んでも、大容量ファイルのダウンロードには時間がかかるものだ。
特にCAは他のソフトより容量が大きく、迅翔その間にご飯を食べる事にした。
栄養もクソも無く『ただ腹が膨れれば良い』という献立のコンビニ弁当を平らげ、その残骸を片付け終わると丁度いい時間だ。
迅翔はベットに横たわってESGを装着し、意識を電子空間に送った――
――――――――――――――――――――
一度沈んだ意識が再び浮かび上がり、
彼の目に映る景色は白い世界……そして赤や青の光が行き交い、幻想的な光景だった。
この空間はゲーム内で使うアバターを作る為のフィールドであり、どのゲームでも共通で変わらない……らしい。
だが今回はジンが以前来た時と違い、巨大な赤と青の光が空間を貫いている。
事前知識と違うその様子に少々驚くジンだったが、ES社開発という事で特殊演出か何かが施されている。もしくはアップデートで仕様が変わったのだろうと予想した。
ジンがそうした予想を立てていると、近未来的な服装の女性が声をかけてきた。
「ようこそジン様」
「久しぶり、ガイドさん」
「はい、お久しぶりです」
彼女はESGの基礎機能であり、ジンが初めてESGを使用した頃から存在するガイドAI。通称ガイドさんだ。
ガイドさんと呼ばない場合でも大した問題は無いが、呼ばなかった場合はガイドさんが目に見えて落ち込んでしまう。
そのあざとい行動から、ガイドさんと呼ばない人は殆ど存在せず……中々可愛いやら我が強いやらと評されている。
ちなみに初回起動時は『気軽にガイドさんとお呼び下さい』と挨拶してくるが、今回は二回目な為にそうした会話は発生しなかった。
「――随分とたくましくなられましたね」
「そんな事は無い……とも言えないかもな。最後に会ったのは
「さて、本日の御用は何でしょうか?」
「
「かしこまりました、少々お待ち下さい――」
ゲームで使用するアバターのカスタマイズ。
初期のそれは、いくつかの簡単なプリセットパーツを選べるだけだった。
だが次第にパーツ数とカスタマイズ項目が増えて行き、やがて無数のスライダーが調整可能となっていった。
そのお陰で凝ったキャラクターを作れるようにはなったのだが、昔は設定が保存されないという仕様によりゲーム毎に設定をやる必要があったのだ。
そうした仕様は、複数のゲームを同一アバターでプレイしたい人達から多くの苦言を発させる切っ掛けとなってしまった。
このような今では改善された仕様がESGにはいくつか存在しており、それは『ES社がゲーム機開発に不慣れな証』だ等とも言われているらしい。
勿論その仕様が改善された現在であっても、ゲーム毎にアバターを作り変える事も出来る。
だがジンはVFの時と同じキャラを使う事にした。
「やっぱ仮想世界とは言え、慣れ親しんだ身体が一番だよな……っと、そろそろかな」
「――アバターデータの取得を完了しました。『
「いや、そのままで大丈夫だ」
「承知いたしました。アバター容姿、プレイヤー名は後からでも一度だけ無償で編集が可能となっております。それ以降の場合は別途有料アイテムの仕様が必要となりますのでご注意下さい」
「りょーかいりょーかい、ありがとうな」
「――それでは新たなゲームの世界をお楽しみ下さい♪」
ガイドさんのにこやかな笑顔を最後にジンの視界は暗転し、新たな世界の旅が幕を開ける……
――――――――――――――――――――
――赤く染められた大地、ルブルム・テルース。
かつてはそこには青い空と豊かな大地が存在し、多くの人々。
そして動植物が平和に暮らしていた
大した争いも無く平和に暮らす彼らだったが、後にルフス・エフェクターと呼ばれるAIが暴走、世界を赤く一変させる。
ルブルムを赤い霧が覆い、人々の体を蝕み……無数の動植物を絶滅させてしまった。
幸いにも宇宙へ逃れる事で、人々だけは赤い霧の恐怖から逃れる事が出来た。
だが周囲に彼らの移住出来る星は無く、周囲の星の環境を作り変えるには時間が足りない。
そんな窮地に陥った彼らを救えるのは、≪リンカー≫と呼称される君達プレイヤーだけだ。
厄災の中で生まれた、
リンカー達は通称CAと呼ばれるマシンを駆り、傭兵としてルブルム・テルースを取り戻す為の戦いにその身を投じる――
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