第8話 俺が人間を辞めるまで―トリガー
辺りに大量の血が撒かれた。
その空間を包むのは静寂
その静寂を最初に破ったのは、リリスの声
「莉乃ォー!!」
右肩から左腰へと向かって切られた
莉乃はその場へと崩れ落ちた。
「誰だその女は、勝手に飛び出て勝手に死んだか」
「テメェッ」
俺は見たのだ。
リリスがあの男の手刀で切られる寸前、
飛びだした莉乃を。
「止められ、なかった」
「おい!!なんで戻ってきた!」
なんで止められなかった。なんでなんでどうして―
「おい!!ボッーとしてんな、とっとと逃げろ!」
「あ、あぁ!」
俺は莉乃の側へ走り、抱きかかえる。
「死なせねぇ」
胴体が真っ二つになった訳じゃねぇ
絶対に死なせない!
「俺がそれをやすやすと見逃すとでも?」
「俺様がお前の妨害を許すとでも?」
大きな衝突音。
背後で何が起きてんだよ!
風を切る音に、爆発音
意味わかんねぇ!
「莉乃、死ぬなよ」
ハァハァッ
「海翔、、?」
「莉乃!大丈夫か?
いや、大丈夫なわけねぇよな
もうすぐで俺ん家だ!待ってろ!」
あと数分だ、、
「なんで?!藤宮さんは?」
「あぁ、藤宮さんも逃げ―」
「嘘、だよね
だって海翔そんな顔してるもん」
そんな顔ってどんな顔だよ
、、、リリスあいつに押され気味だったよな。
「莉乃、俺どうすればいいかな」
「海翔は、どうしたいの?」
俺は―
「俺なんかじゃなにもできなくても、
それでもやっぱり、、助けたいよ」
「うん、、
さっきの傷ね、痛いけど、全然浅いんだ。
血ももうでてない」
「おい―」
「行ってあげて、海翔
後は自分で歩くから」
何言ってるんだ
そんなこと言われて俺が置いていくと思うのか?!
「今、海翔の目の前から1番先にいなくなりそうな
のは、藤宮さんだよ
海翔は家族を守れなくて、後悔してるでしょ?」
それは、
「いいのか?」
だってそれは、お前を見捨てるようなものだろ
「いいよ、今度3人でご飯いこうね。」
っ!ご飯、か。
「あぁ、任せろ!
降ろすぞ。」
俺は莉乃を降ろすと、公園へと全速力で走り出した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます