第8話

その日、一日落ち着かなかった。

カバンの中に紅白のパンツ二枚を隠したはいいものの、いつ何時、俺の鞄が誰かに荒らされて

変態呼ばわりされるか分かったもんじゃない。


「どーしたんだシンジ。

さっきから、カバンを大事そうに抱えて」


「おまえ、すっげぇ、挙動不審だぞ」


楽しいはずの班行動だってヤキモキしてた。


二条城巡りにて。俺は違うクラスの女子グループに遭遇した。それは赤パン女、林ユーコを含む四人組だった。


風の悪戯なのか、


林ユーコのスカートがめくれそうになってた。

おおっわ..!


俺は慌てふためき、ユーコに駆け寄った。

少しでも風除けになればいいと思って。


「何よ、シンジ?

私に向かって来てくれて?やっぱり私のこと好きなのね?」


「あ、いや、これはそのだな...」


「今日の夜、旅館で覚悟なさいよ」


「え?」


「言っとくけどねぇ、私は、ミドリに幼馴染のあんたを譲るつもりは毛頭ない。幼稚園時代から好きだったのよ、あんたのこと」


「私が残したピーマンを先生に怒られるからって食べてくれたじゃない?牛乳飲めない私の牛乳もお残しは許しませんよ、がモットーの先生の目を盗んで、無理して飲んでくれたのじゃない?」


「あの頃から好きなんだからね!

私の方が年季、入ってんだから!

そこ、分かってよね」


「ユーコ!なに、喋ってんの?

次、竜安寺の石庭行くよ!」


「うん、今いくね!」


「じゃ、シンジ。どーせ草食系のあんたのことだから、女子部屋には来てくれないでしょ?

だからー、私が夜に、ノープラノーパンで

あんたの部屋に夜這いに行ったげるから、

そのつもりで!」


「な....!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る