3
『しんどいのは自分なのに』
自室に戻ったネズミは一人考えを巡らせた。
彼にとっては彼女の思考は理解出来ないもので、その逆もまたあるのだろう。そうしてみんなに挨拶をしてから一時間が経過していた。
「ネズミくんまだ起きてるっすか?」
「起きてますけど」
失礼するっす〜と言って入ってきたのは案の定パンダ。彼も今日は狙撃班でだいぶ精神を削りながら戦ったはずだ。
「どうしたんですか」
「いやー今日ぼーっとしてたんで」
珍しいなーと思っただけっすよ、と窓から見える月を眺める。
「猫さんもそうっすけど、言いたくないことは言わなければいいと思うんすよ。だから、今ここで話せとは言わない。だけど」
『一人がしんどくなったら誰か頼った方がいいっすよ』
そう言って眼鏡を上げたパンダはふわっと笑った。
「……そうですね。そのときは頼ると思います」
「そうしろそうしろ」
それだけっす、と部屋を出たパンダ。
ベッドに倒れ込んだネズミはそのまま目を閉じ、不器用ながら言葉に少し笑いながら意識の海へと溶けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます