番外編―僕が猫になった日
1
派手な爆発音と共に爆風が全員を襲う。
「皆さん大丈夫っすか!?」
「私と羊ちゃんはなんとか」
狙撃担当のパンダの声に最初に返事をしたのは羊と組んでいる柴犬。ギリギリで物陰に隠れたおかげで二人は傷一つない。
「狐とネズミも無事やで」
「生きてます」
軽やかな関西弁を続けた狐とネズミはガラスの破片で軽いかすり傷がいくつか出来ていた。
「私たちも無事」
そう言ってため息をついた猫の頭をウサギは優しく撫でる。
「怪我がなくて良かった」
「そっちもね」
静かに微笑んだ猫。元々二人組だった猫とウサギはバディになって一年が経過していた。
「さっさと片付けて帰るかぁ」
「そうだね」
「いっちょかましちゃいましょう」
「せやなぁ。たっぷりお返しせんとなぁ」
「久しぶりの前線頑張ろう」
「せやな。頑張ろう」
「援護射撃は任しといてください」
そう言って全員は立ち上がり、妖しい笑みを浮かべた。
「で、ボス戦は私たちなわけだけど」
地図で自分たちの居場所をスマホで確認しながら歩く猫。その横から今回はどうする?とスマホを覗き込む。
「どうしたい?」
猫はウサギを見る。
「やっぱり正面突破やろ」
「いいね」
そう言って二人は走り出した。
走り出して数分後、目の前にはスーツの男がざっと十人ほど。二人は咄嗟に構える。
「頼むで猫!」
「任せて」
そう言ってウサギはその身体能力で走り出し、猫は拳銃を構えた。もちろん実弾は入っておらず、見掛け倒しの麻酔銃。
「止まれ」
白髪の老人が奥の部屋から出て来た瞬間、スーツの男たちの動きが止まる。
「あんたがラスボスやな」
「ああ。君たちと交渉したい」
そう言った男は一人だけ着いて来いと部屋に消える。
「私が行く」
「待って、猫は女子だよ?相手は歳を食ってると言っても男は男。体術では差ができる。俺が行く」
そう言って猫を止め、ウサギは奥の部屋に行く。
「気をつけてね」
「一緒に帰るんや。大丈夫」
そう言って笑い、部屋へと足を進めた。
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