「行けお前ら」

 四人ほどが殴りかかってくる。それぞれが殴り飛ばす蹴り飛ばす。

 その中、コソコソと女子高生を連れて逃げようとする男が一人。脇腹にはナイフが突き立てられているため声は出せず、必死な目線に彼らも気づけない。

「そこまでな〜」

 突如として男の頭にカチャンと頭に何かが突き立てられる。

「な、」

「本当に弾入っとるん?」

 物珍しそうに眺めながら笑う羊。

「あんたがその子にナイフ突き刺すのと私がコレをぶち込むの。競争する?」

 フードの下にちらりと見えたその目は笑っているものの光はない。

「分かった、分かったから!」

 そう言って女子高生から手を離す。

「……な〜んてな」

 そう言ってナイフを振りかざす男の手からナイフが飛んだ。

「まだやる?」

 冷たい目で見下ろした少女の耳には青いイヤリングが光っていた。

「あの、」

 何か言いかけた女子高生にシーっと人差し指を立てる。

「もうすぐ警察が来るから俺らのことは内緒にしてな」

「僕らのことは君と僕らだけの秘密だ」

 人懐っこい笑みを浮かべたウサギに微笑んだ猫。

「よろしくね、栞ちゃん」

「なんで私の名前……」

「んー、なんでだろうね」

 そう言って笑った彼らはバイクや車に乗った。

「またね」

 妖しく笑った彼らの耳のイヤリングが優しく輝いた。

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