合図の後に散った彼ら。目指す先は数分前に逃げて行った車。

「なにやったんすかね」

「誘拐じゃない?」

 そう言いつつ走るパンダと猫。

「あらー覆面パトカー横転して爆発しとるわ」

「猫ちゃんたちバイクあるよ〜」

 屋根でため息をついた狐に柴犬はパーキングの名前とバイクのナンバーを告げる。

「猫、バイク乗れるん?」

「俺は前に乗せてもらいましたよ」

「黙らんと舌噛むで?」

 呑気に話すウサギとネズミを一言で黙らせた羊はそのまま車を急発進させた。

 その様子に偵察組である狐と柴犬はふふっと笑う。

「猫さんってバイク乗れたんですね」

「どいつもこいつも……そんなに振り落とされたいわけ?」

 パンダがヘルメットを被ったことを確認した猫はそのまま振り落としかねない急発進をした。

「犯人は東に向かって逃走中〜」

「誘拐はちょっとめんどうだね」

 偵察組の会話を聞いたバイク組はそのまま警察を追い抜かした。

『そこのバイク!止まりなさい!』

「なんでやねん」

 見ていたウサギは思わずと言った表情でつっこむ。

「めんどくさいな……ルート変える」

「ここに来て!?」

「捕まるのは流石に面倒」

 前と後ろで温度差のあるバイク組はそのまま裏道へと入って行く。

「すごい強引に入ってったな」

「本当ですね……俺こっちで良かった」

「せやなぁ」

 ゆるゆると関西弁で話す車組だがその速度は法ギリギリ。

「マジで振り落とされる……」

「ちゃんと捕まってて」

 後ろに乗るパンダはもはやグロッキー。対する猫は涼しい顔をして道を駆け抜けて行く。

「追いつけそうやね」

「反対から回り込む」

 ドライバーの二人の涼しい会話が聞こえた途端、大きな音が響いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る