第21話 見つかった!



「大統領、お疲れ様でした。 これで後は反応を見るだけですね。 デイビッドたちが現地におります。 軍事基地と連携し、引き続き様子を探らせましょう」

政務官が言う。

「うむ。 少し胃の辺りが痛くなったよ」

大統領は苦笑いをしながら、寝室へと戻って行った。


◇◇


<日本の政治家>


アメリカ大統領からの思わぬ一報を受け、スカ首相はすぐにニッカ大臣とクソウ大臣を呼び寄せた。

例の密談ができる部屋だ。

外に会話が漏れる心配はない。

「スカさん、忙しいですな。 何ですか?」

クソウ大臣が言う。

「どうぞお座りください。 ニッカさんもどうぞ」

スカ首相は椅子を勧めながら、アメリカ大統領からの話を伝える。

「実は、今アメリカ大統領から直通電話がありまして、今回の新型コロナウイルスが無くなったことに関する話をいただきました」

・・・・

・・

スカ首相の話に、クソウ大臣とニッカ大臣は言葉を失う。

「まさか、そんな漫画みたいなことが起こっているというのかね? それをスカさんは信じるのかね?」

クソウ大臣が言う。

「信じられませんよ。 ですが、大統領が20分もそんな話をされたのです。 考える価値があると思います」

「スカさん、あんた試されてるんじゃないでしょうな?」

ニッカ大臣が睨む。

「ま、まさか・・しかし、試すにしてもそんな絵本みたいな話をするでしょうか?」

「ふむ・・私のところで少し調査させてみましょう」

クソウ大臣がそう言うと、机の上の電話モニターを押す。


「こっちに来てくれ」

モニターに映った、クソウ大臣のSPがうなずく。

すぐに扉が開かれて、ガタイの良いSPが一人入って来る。

クソウ大臣のところへ来ると、身体を曲げてクソウ大臣の話を聞く。

「君、少し調べてくれたまえ・・」

・・・

クソウ大臣は今聞いた話を伝えた。

SPは身じろぎもせずに姿勢を正し、クソウ大臣に挨拶をして部屋の外へ出て行った。

「ニッカさん、スカさん、半日もすれば何かわかるでしょう。 待ちましょう」

クソウ大臣はそう言うと、椅子に深く腰掛ける。


◇◇

<空港にて>


デイビッドとサラ、それにSPたちは空港ロビーを歩きタクシー乗り場の方へ向かって行く。

タクシー乗り場への空港ターミナルビルの入り口が開く。

外からカジュアルな服を着た男が入って来る。

テツだ。


俺は、空港内のビルに入るなり索敵をしてみた。

おそらく相手も気づくだろう。

そして、それが狙いだ。

せっかく作った結界にちょっかいを出したんだ。

目的を知りたい。

魔法使いなら見ればわかるだろう。

これが神聖術の魔法で、病原菌などを排除できる代物だということが。

普通に生きている生物には無害だ。

そんな結界を壊そうという時点で、俺的には悪だ。

いったい誰だ?

俺は索敵範囲をゆっくりと広げていく。

気づけば、動きが止まるか妙な動きをするか、とにかく何らかの反応をするだろう。

普通の人には全くわからないからな。

俺はどんな仕草も見逃すまいと、集中して感覚を研ぎ澄ませる。

空港の滑走路の方まで広げると、途中で2人が不審な動きをする。

!!

こいつ等だな。

俺は敵を把握。


俺は超加速で相手の近くまで移動した。

相手の前20メートルくらいのところの壁に隠れている。



<デイビッドとサラ>


デイビッドとサラはその場で突っ立っていた。

テツの索敵魔法を感じたからだ。

テツはわざと感じとることができるくらいの密度で索敵していた。

本来ならもっと密度を薄くして、何がいるのかがわかる程度だ。

だが、今回は特定の人物を把握したいために行われていた。

「デ、デイビット・・今の感覚は・・」

「あぁ、わかっている。 俺たちは見つかったようだ」

サラが不安そうな顔をデイビッドに向ける。

デイビッドはサングラスを外しながら辺りをゆっくりと見渡す。

額には汗がにじんでいた。


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