第13話 クリストファー
<クリストファーの場合>
クリストファー。
どうやらビリオネアと呼ばれるシュナイダーという男に
ある日、シュナイダーに呼ばれて部屋に入るためにドアを開けた。
一歩踏み出したら、中世風の大広間にいた。
クリストファーの他にも4人の男女が見える。
自分達の周りでは中世貴族風の服装を着た人たちが囲んでいる。
その者達の口から「勇者様だ」「新しい勇者様だ」などという言葉が聞こえてきた。
言葉はわかる。
クリストファーは知らないが、テツたちが魔族侵攻に向かった後に無理やり召喚された勇者たちだった。
ただ、適性時期と違い転移に際してそれほどのレベルを備えてはいなかった。
だが、即戦力となるくらいのレベルはあった。
クリストファーのレベルは20。
他に召喚された者たちも同じようなレベルだったようだ。
聞けば、助けが欲しいという。
異世界の人たちの力でどうかこの国を救ってくれという。
クリストファーは動じなかった。
状況も正確に受けれたつもりだ。
だが、相手の言うことなど信用する気になれない。
自分達の事柄を、全く知らない他者の力に依存する、その心境が理解できなかった。
つまりは全く信用するに値しないと判断。
だが、見知らぬ世界だ。
取りあえず慣れるまでは信用する振りをするしかない。
そう思い、このわけの分からない国、ブレイザブリクで過ごすことにした。
そのうち、この世界の教育も兼ねた修行も終わり、クリストファーたちはレベル27になっていた。
この世界ではベテランレベルだという。
そこでクリストファーたちは隣国の侵略に使われた。
結果は圧勝だった。
敵とはいえ人間だ。
最後まで乗り気ではなかった。
だが、参加しなければ不遇な感じになる雰囲気を感じていた。
無駄に力がある分、廃棄となると想像を超える苦難があるだろうとは推察できる。
クリストファーは従順な勇者を演じる。
クリストファーはこの国の指揮に従いながら、ひたすら戦った。
3つくらいの大きな戦争を経験させられた頃だろうか。
突然、国の王が失踪する。
国の重鎮たちも消えて行った。
原因はわからない。
国の治安は悪化。
ほぼ無法地帯になりつつあった。
それぞれが自警団を作り、小さな集団に分かれ始めた頃だ。
召喚された勇者たちともバラバラになる。
クリストファーがある村にいたとき。
一人の小さな女の子が川で水を
自分くらいある大きなバケツで運んでいる。
クリストファーは思わず手伝ってしまった。
女の子はありがとうと言って一緒に水を運んでいく。
少しするとクリストファーの前に急に白い霧が現れた。
自分の手も見えないくらいの濃霧。
気がつくと、お館様の部屋に入ろうとしていたところだった。
そう、自分が転移させられたその瞬間に戻っていたのだ。
クリストファーは夢ではないのかと疑った。
だが、違った。
魔法やレベルあることが判明。
ステータスパネルも見ることができた。
そのほとんどをお館様:シュナイダーに報告し、実践して見せた。
シュナイダーは当然驚く。
未だに信じてもらえないが、実際に弾丸も避けることができる。
ナイフはクリストファーには刺さらない。
手の平からは炎の魔法が出たりもする。
シュナイダーも信じないわけにはいかない。
そんなことがあり現在に至っている。
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