第7話 わからない
<警察官>
ホテルの通路を歩きながら警察官たちは話していた。
「杉田さん、あの男どうですか?」
「わからんな。 だが、シロだろう」
「そうですか・・自分もそう思います」
「しかし、本当に人が燃えていたのかな? 何にも残っていなかったしな」
杉田と呼ばれた人が言う。
「はい、自分も現場に駆け付けたときには何もありませんでした。 人が集まってバケツで水をかけていたのは覚えています。 ですが、その水の後に何もないのです。 普通、燃えていたら何か燃えカスが残るはずですが、何もないので本当に人が燃えていたのかどうかもわからないのですよ」
「そうだよな」
警察官はそんな話をしながらビジネスホテルを後にした。
◇
<テツ>
想定通りだな。
人は想定した範囲以外のことには注意が向きにくいものだ。
ましてや魔法などというものは考えることもできないだろう。
問題はない。
さて、これからのことだ。
俺はベッドに横になる。
あのクズどもを処理した時。
スカッとしたのは事実だ。
あぁいう連中をチクチク始末していくのいいかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
誰の為でもない。
世の中の為でもない。
日本という国で作った勝手なルール。
それに縛られて人は生きている。
それでも諸外国よりはこの国のルールはマシと思えるかもしれない。
法は、人が生活しやすく安全に過ごせるためのルールだろう。
適宜変更して時代に合わせればいいのに、全然しない。
法律家なんて言葉遊びだ。
解釈の仕方で全然違う。
そういえば、国外逃亡を
全く、国民を守る人間が国に害を及ぼすようなことを平気でしている世の中だ。
俺みたいな劇薬があってもいいかもしれない。
とはいえ、個人でできることはたかが知れているだろうけどな。
そんなことを考えていると寝ていたようだ。
・・・
・・
時間は5時。
俺の起きる時間だ。
軽くシャワーを浴びる。
朝食にはまだ早い。
テレビをつけてみた。
天気予報や海外のニュースなどが流れている。
6時くらいになったころだろうか。
朝食は6時半からだ。
テレビで昨日のニュースが流れていた。
どういう状況かわからないが、とにかく4人の若者の行方がわからなくなっているという。
それに、その若者の持っていたナイフが見つかったそうだ。
何故わかったか。
どうも前科があったようで、その指紋と一致したという話だ。
早い展開だなと思いながら、俺は聞いていた。
朝だからだろうか。
コメンテイターがはっきりと言う。
この人、そのうちに降板になったりしないだろうな。
俺はそんなことを思いながらテレビを見ていた。
朝食の時間が来たようだ。
◇
<警察>
ナイフがジップロックのような袋に入れられて机の上にある。
「鑑識さん、あの半グレの1人だよな?」
「はい、間違いありません。 以前の指紋と一致しています」
「杉田さん、やはり人がいたのでしょうか?」
テツのところに事情聴取に来ていた警察官たちだ。
他にも何人かいる。
「う~ん・・なんであの現場から100メートルも離れたところにナイフが落ちているんだ?」
「あの男が逃げたと言ってたじゃないですか。 もしかして追いかけていた時に落としたんじゃないですかね?」
「う~ん・・」
杉田は考え込んでいるようだった。
警察の鑑識たちは現場を調べた報告をまとめている。
周辺も調べていた。
だが、現場の周辺だけだった。
テツが蹴り飛ばした男が激突したビルなどは対象外だった。
ナイフも当然対象外だったが、偶然見つけたものだ。
杉田は妙な違和感を感じるが、言葉にならない。
当然だろう。
魔法やレベルシステムなどというものは知るはずもないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます