第6話 容疑者フラグか?
ふぅ・・気持ちいいな。
やっぱお湯で身体をきれいにするのは最高だ。
バスタオルを巻きベッドの所へ歩いて行く。
身体を魔法で乾かして服を着る。
「さてと、食事にでも行って来るか」
俺はホテルの食堂へと向かう。
軽く夕食を食べ、部屋に戻りテレビをつけた。
ニュースを見たかったからだ。
俺が魔法で燃やしたクズども。
ニュース速報で流れているかもしれない。
そう思ってニュース番組を見ていた。
しばらくすると、やはりニュースに流れる。
「・・今日午後6時過ぎに、総武線水道橋の駅付近で事件がありました。 現場には何も残っていないということですが、目撃者の証言によりますと確かに人が燃えていたと言っています。 現場の山下さん」
「はい、山下です。 現場からお伝えします。 今日午後6時30分頃、この場所で人が燃えていたという話がありました。 ですが、見てください。 燃えていたという証言の割には、どこにも焦げたような跡がありません。 ただ、水たまりがところどころ見受けられます。 おそらくその燃えていたというものに対する消火活動の後だとは思われます。 警察では現在防犯カメラなどの映像と目撃証言などを元に調査中とのことです・・」
俺はニュースを聞きながら思っていた。
焦げなどが残るはずがない。
あの炎は対象物だけを燃やし尽くす。
他のものが触れようが魔法を重ねようが関係ない。
それに俺も戦闘中には常に隠蔽魔法をかけている。
ましてや結界膜まで張ったんだ。
何も残るまい。
防犯カメラにも映るはずもないだろう。
・・・
いや待てよ、映るかもしれない。
幽霊なんていうものが映るとかあったからな。
テレビで見る限りは、俺は映ってないようだが。
さて、今日は寝るか。
特に気にすることなく俺はベッドに横になる。
時間は22時。
プルルルル・・。
頭元の電話が鳴る。
フロントからの電話のようだ。
「はい」
「お客様、夜分に申し訳ありません。 フロントの者ですが、お客様に警察の方がお話を伺いたいと言っておりまして・・」
「・・そうですか。 どうぞ部屋までお越しくださるようにお伝えください」
俺はそう答えると服を着替える。
ピンポーン。
俺の部屋のインターホンが鳴る。
俺は部屋のドアを開けた。
ドラマであるように警察官が2人いる。
警察手帳を見せて、言葉を出す。
「こんな夜分にすみません。 佐藤さん、少しお話を伺いたいのですがよろしいですか?」
俺はどうぞと言って、警察官2人を中へ入れた。
警察官に椅子を提供し俺はベッドに腰かける。
「佐藤さん、単刀直入に伺います。 今日の午後6時頃、近くで事件が発生したのはご存知ですか?」
警察官は丁寧な口調で聞いてくる。
「えぇ、先程ニュースでも流れていましたね。 その関連ですか?」
俺がそう聞くと、警察官がうなずく。
「佐藤さん、実はその時間に若者に絡まれていませんでしたか?」
警察官が聞いてくる。
なるほど、防犯カメラの映像だな。
まだ戦闘になっていないから俺が映っていたわけだ。
俺は答えながら考えていた。
「えぇ、確か4人くらいの若い連中に肩が当たったとかで・・」
警察官が事情を聞きに来るということは、俺に容疑のフラグが立っているわけだ。
とはいえ、魔法など信じられないだろう。
それに途中から俺の姿消えているはずだ。
あくまでも参考程度だなと俺は判断。
「はい、佐藤さんが途中まで若い連中に連れて行かれたことはわかっているのですが、いつの間にか佐藤さんの姿が消えているのです」
警察官が疑い深そうな顔で俺を見る。
「あぁ、それですか。 途中で逃げたんですよ。 私、こう見えても足が速いんです。 それにパルクールみたいなことも好きでしてね」
俺はビルの隙間に逃げたり登ったりしたと話した。
警察官は少し驚いていたようだが、すっきりしないような顔のまま席を立つ。
「佐藤さん、お時間を取らせました。 ご協力ありがとうございます」
そう言うと、警察官は俺の部屋を後にする。
◇
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