第20話 コールセンターの悲しみ
夜…。
「ただいま」
母が、いつものように、メゾン・オトナシの部屋に、帰ってきた。
だが、心配。
ずいぶんと、浮かない顔だったからだ。
「お母さん、どうしたの?」
「どうしたのー?」
「おや、おや。どうされたんですか?」
母に声をかけた皆のほうの声も、しょんぼり気味になってしまったくらいだ。
「何か、あったんだろうなあ」
最低でも、そういうことは、すぐに、察しがついた。
妹にも、それがわかったのだろう。
いつもは大きくはしゃぐその姿が、そのときには、見られなかったのだから。
母が、おもむろに、口を開いた。
「…仕事、辞めさせられちゃったの」
部屋の中の空気が、瞬間、凍り付いた。
母は、私たちがかつて住んでいたのとは逆方向の、隣りの隣りの町にあった通販ショップで、働いていた。
「ネットショップ・ラーカイラム」
その店のコールセンター部に、所属していた。
母は、そこまで、自転車を使って通勤していた。私は母に、こう言ってあげたことがあった。
「お母さん?隣りの隣り町まで通うんだから、電車でいけばいいじゃない」
母は、良い顔をしてくれなかった。
「うん。そうする」
快諾は、してもらえなかった。
「気持ちは、うれしいんだけれどね…。お母さん、電車通勤は、どうしてもしたくないのよ」
そんなことを、言うのだった。
ここに越してきたときに、私たちがミタライさんと待ち合わせに使った場所近くの駅からいけば、絶対に、楽なはずだった。
母も、そろそろ、高齢者の域に入る。
「自転車通勤じゃあ、身体に、負担だよ?お母さんのことが、心配なのよ?」
私は、そう思って母に優しく声をかけたつもりだった。
が、結局母は、それに応じてくれず。
電車通勤をしてくれることは、なかった。
私は、母を気遣った申し入れが拒絶されたことで、気分が悪かった。
中学校からの帰宅後、私は、妹とカノおばあちゃんに、辛く当たってしまった。
「最悪…」
「どうしたの?お姉ちゃん?」
「どうしたんですか?」
「あのね?私、お母さんのことを思って電車通勤を勧めたの。そうしたら、沈没。聞き入れて、もらえなかった。あーあ…」
グチを、こぼしていた。
それにたいしては、カノおばあちゃんが、変わったことを言ってきた。
「それはちょっと、事情の糸が、混線だ」
妙な、言い回しだった。
カノおばあちゃんによれば、こうだった。
「お母さんは、ユキノちゃんの気遣いが気に入らなかったんじゃ、ないんだよ」
「はい?」
新鮮な、驚きだった。
「ユキノちゃん?お母さんは、複雑すぎた事情があって、乗れなかったんじゃないのかねえ?お母さんは、その、たくさんの事情のせいで自分が辛くなっちゃっていたんだよねえ」
「はあ?」
「お母さんは、その辛さを、家族には与えたくなかったんだ。長女の確とした思いやりを、拒絶してまでも」
「…」
「だからお母さんは、電車通勤ができなかったんじゃないのかねえ」
「そうなのかなあ…」
私が、諦めかけてつぶやくと、カノおばあちゃんは、こうも言った。
「そういうものなんですよ。それが、人の気持ちなんですよ」
「…それって、どういうことなのかな?」
私なりに、考えてみた。
時間が、無情にも、すぎていった。
カノおばあちゃんが新しいお茶を淹れて飲んでいたくらい、時間が経っていた。
おばあちゃんの知恵袋を借りて私が出した回答は、こうだった。
「お母さんは、電車には、乗れない。もしもお母さんが、電車に乗ったとする。そのとき、お母さんの立場だったとしたなら…。どう考えただろうか?」
事情の糸を解きほぐす作業は、少々、厄介だった。
「電車で、移動…。あのときの、私たち姉妹だ。お母さんだったなら、それに、私たちが住んでいた家のことを思い出してしまうんじゃあ、ないだろうか?あの家にまつわるいくつもの事情が、お母さんの心を、刺していく」
怖くなった。
「自分の大切な子どもたち、つまりは、私たち姉妹のことを思い出していく。お父さんのこと、も。そして、あの家を出なくてはならなくなってしまった事情、その原因のすべてのを、思い出してしまうことだろう。忘れたかったのかもしれなかったと、しても…。そうすれば、無念で、すべての事情を絡ませてしまい、苦しんじゃうだろうなあ」
そうは簡単にほぐれぬ、事情の糸。
事情を巡る何もかもが、向こう見ずな走馬燈となって、お母さんの心を、侵食してしまうはずだ。
お母さんは、電車に乗る度に、傷付けられてしまう。
気付けば、自然と、もと住んでいた家の方向へ、足が向かっていくかもしれなかった。
…それだけなら、救いはあった。
けれど、記憶の海に突き落とされてもがき苦しむことになったお母さんなら、そこで、何をしてしまうだろう?
もしもそこで…。
もしも、お母さんがいなくなってしまうようなことが、起きてしまったら…。お父さんと、同じように…。
家族の存在価値の灯火が消え、復活することなく、たどり着けないところにまで燃えてしまったと、したなら…。
そうすれば、家族はどうなるのか…?
お母さんは、そうしたことを、あれこれと考えていたんじゃないのだろうか?
「…ユキノちゃん?ねえ。ねえったらあ」
おばあちゃんが、声をかけてきていた。
「ああ、ごめんなさい」
私は、ハッとさせられた。
「どうしちゃったの?」
「ごめんなさい。考え事を、してました」
私がそう返すと、妹が、無邪気にも、隣りで笑っていた。
「ああ、やだ、やだ。お姉ちゃんには、人のきもちが、わからない」
長女の苦しさも、知らずに…!腹が、立ってきた。
「人の気持ちがわからない、か…」
私は、くやしかった。
「妹が、ピエロであってほしかった」
つまらないことを、願っていた。
「ユキノちゃん?ユキノちゃん?」
「あ、はい」
「もう一度、このばばあの言うことを、聞いてくださいな」
「あ、はい」
「いいかい?お母さんは、ユキノちゃんの提案が嫌だったんじゃ、ないんだよ?それだけは、間違えないでちょうだいね?ユキノちゃんがお母さんを心配する気持ちは、このばばあにも、良く、わかります」
「…」
「お母さんは、楽になれるんだからねえ。そう。お母さんは、楽になれるんだ。でもその代わりに、ユキノちゃんたちががんばり過ぎちゃうことになれば、どうだろうね?」
「え?」
「がんばり屋さんのユキノちゃんは、がんばりすぎて、倒れちゃうかもしれない」
「…」
「お母さんが楽になれたことで、子どもたちが苦痛を味わっちゃったら、困る。それはそれは、不幸だ。家族全体にとっての事情の糸が、大混線だ。お母さんには、そうしたことのリスクが、耐えきれなかった。だからこそお母さんは、電車通勤が、できなかった。ユキノちゃんの気持ちは、うれしかったけれどね…。どうか、わかってあげて」
私は、そう強く諭されてしまって、私のほうこそ、充分、ピエロの候補生だった。
「コクリ」
無言で、頭を下げていた。
社会は、難しいものだったのだ。
次の瞬間、私は、ふと、部屋の天井を見上げてみた。
「あれ…?」
遥か彼方に見えていたはずだったその見知らぬ天井は、いくぶんか、近付いていたような気がした。
「え…?」
そのとき、懐かしい声が聞こえてきたような気がした。
「ユキノ?ダメじゃないか。お前には、お姉ちゃんとして、まだ足りないものがある」
身震いが、したものだ。
「何の声だったんだろう?」
その日の、夜。
母が、珍しく、酒をもって帰宅した。
「ちびり、ちびり…」
実に悲しそうに、飲みはじめた。
「お母さん?どうしたの?帰ってきてすぐに、お酒だなんて…」
私がそう聞くと、母は、こんな哲学的なことを返してきた。
「今夜は、月が、良く見えるからよ…」
昔の文豪に負けず劣らず、文学的だった。
…などと言っている場合では、なかった。
「ウソよ、お母さん。月なんか、出ていないじゃないの」
母は、何も、答えてはくれなかった。
そうして母は、その酒を飲んで、泣いた。
「お仕事、辞めさせられちゃった…」
母は、パート雇用。
ネットショップ・ラーカイラムでの、コールセンター業。
そ子での業務中に、とんでもなく理不尽なことに巻き込まれ、辞めさせられてしまったという。
「辞めたくなんて、なかったのに…」
母が、また、泣いた。
パート雇用であった母は、弱い立場の労働者だった。その立場を悪用されたかのような悲劇が起こされたのだと、わかった。
酒を飲んで赤くなった母に、そっと頃合いをはかって聞けば、こうだった。
「高齢の客にキレられたのが、原因」
酒の、魔力か…?
抑圧されていた事情の糸が、母の口のほうから、解かれようとしていた。
母の口は、苦痛の脈絡を伝って、いくつもの言葉をつむぎ出そうと、もがいていた。
母は、そんな苦痛の脈絡から早く解き放たれたくて、事情の糸を断ち切りたくって…。
そのためにも、アルコールに頼ってでも前進していこうと、思ったのだろうか?
母は、その酒をコップ一杯分だけ飲んで、寝てしまった。酒瓶には、こう書かれたラベルが、貼られていた。
「バッカスの酒」
母が、静かになった。
「ツキノ?お母さん、寝ちゃったみたい」
「ねちゃった」
「バッカス、かあ…。バッカス…。ツキノ?何かの、神様の名前だったっけ?」
「おねえちゃんには、ないしょ!」
「ちぇっ…」
母は、精神世界の中に入って、寝ていた。
ネットショップ・ラーカイラムでは、日々、通信販売関連の電話が、入っていた。
ちょっと変わった店で、ネットショップといっておきながら、ネット経由での注文よりも、電話での注文のほうが、圧倒的に多かったようだ。そこで、コールセンターが、大きな存在価値を発揮していたらしい。
その日の母も、いつものように、電話を受けていた。
「お電話、ありがとうございます。ネットショップ・ラーカイラムで、ございます!」
母の、第一声だ。
そこまでは、良かった。
問題は、そこから後、だった。
「おい。対応がなっていないんだよ。何だよ、その、電話。コール…何だって?」
「コールセンターで、ございます」
「コールセンター?何だよ、それは。混乱させた言い方を、して」
「電話で受付を、致しております」
「電話番か?じゃあ、そう、言え」
そういう客は、多かった。
ちなみに、そういう客は、ほぼ、好景気世代の人だったとか。
「ありがとうございますとか、余計なんだよ。どうして今どきの社会人は、つまらないことに、時間をかけるんだ。ありがとうございます、だと?君は、客を、バカにしているのかね?客は、神様だぞ?まったく」
母は、謝るしかなかった。
「申し訳、ございません」
「こっちは、商品を注文したくて、電話をかけているんだよ。そのくらい、わかるだろう?だから、そのための対応だけで、良いんだよ。余計なことを、言うんじゃない。まったく、今どきの社会人はなあ。おい、上司を出せ」
母は、そうして、怒られ三昧だったらしかった。
「何、それ。コールセンターが、かわいそう。お母さん?それって、どんな人からの電話だったの?」
が、聞くまでも、なさそうだった。
「そうだった。好景気組だったわね…」
母も含め、コールセンターは、パートやアルバイト店員が、多くを占めた。その人たちの立場は、残念ながら、高くなかった。
まず、客にたいしては、低姿勢に低姿勢を重ねてまで挨拶ができなければ、ならなかった。
そうした意味でも、こういう声ではじまるのは、当然のことだった。
「お電話、ありがとうございます」
挨拶をし、交渉の場をしっかり用意してあげることは、最低限の、接客マナーだったわけだ。
それは、パート社員ら店を下支えするメンバーには、良くわかっていたことだった。
「お電話、ありがとうございます」
そう言えないのは、道で人にあって挨拶できないのと、同じようなものだった。
しかし…!
その常識的対応が通用しにくい人たちが、存在した。
その人たちとは、ほぼほぼ、好景気時代で働けた中高年から高齢者の世代だと、いわれた。
その人たちが特別困るというわけではなかったが、付き合いが難しいということは、たしかか。
コールセンターで働く人たちと好景気組では、社会感覚に、かなりのズレが生じていたという。
好景気組は、こう考えていたようで、事実、コールセンターの人に向かって、まくし立ててきた。
「何を、挨拶しているんだよ?ありがとうございますなんて、時間の無駄じゃないか。早く本題に、入れ。働くのには、時間の無駄なんだよ。それで、24時間働けますかって、いうんだよ。わかってんのか。それが、働くっていうことだ。そうだろう?」
好景気組の人たちは、労働の特権階級者であり、そういうことを、平気で言えたようだ。
弱い立場のコールセンターの人たちが、気の毒でしかなかった。
そもそも、だ。
「お客様から電話がきたら、まずは、挨拶をしてください。その対応を、社会の、常識としてください」
そう指導されている以上、その通り対応ができなければならなかったのだ。
これが、アドリブで生きられて、何をしても解雇されなかった人たちには、理解できないのだった。
それに、24時間働けますか、って…?
今それを推奨すれば、その企業は、労働を過度に要求し、労働者を過労死させてしまっていると追及されるだろう。
要するに、こうだ。
「24時間働けますか、ですって?お宅の会社は、労働者に、何をさせているのですか?過労死、しますよ?社会の変わり方を、感じてください。男だから…、女だから…の定年おじさん感覚で、生きていませんか?LG BTの意味も、考えられないのではないのですか?違いますか?」
好景気組の中には、こう言う人もいた。
「疑問があったら、社長に言え!それが、電話番の責任だろ!」
だが、本当に、そういう問題だったのか?
社会の事情は、変わった。
上の人に言ってどうなるものでは、なかったのだ。というより、上の人には、たどり着けないものだったのだ。
たとえたどり着けても、話がかみ合わなかった。
なぜか?
立場が、違いすぎたからだ。
「社長に、直談判するの?できるわけ、ないじゃないの?」
が、定年退職世代のおじさんたちは、それが、今の社会でも、できると思っていたようだ。
正社員でもない以上、大それた相談など、簡単にできるものではなかったのに…。
右肩上がりの社会で仕事ができた人たち、たとえば、その、定年退職世代のおじさんたちとは、感覚が、もう、ズレズレになってしまっていたのだ。
コールセンターで働く人たちは、丁寧に、仕事をしてくれていたのに…。
悲劇は、電話挨拶以外にもあった。
たとえば、復唱確認。
コールセンターでは、たとえ時間がかかったとしても、正確な情報のやりとりができなければ、ならなかった。
客から注文を承った後で、この作業をすることは、日常だった。
「復唱確認」
すなわち、これだ。
「ご注文を、繰り返します」
そこでも、悲劇は起こりやすかった。
怒る客は、やっぱり、ほぼ、好景気組。
特に、高齢者が怖かった。
「あー…?聞こえないんだよ!」
何度も、復唱させられやすかった。
「それは、お客様の耳の問題で…」
などと言ってしまったら、大戦争だ。
そこにきて、復唱しすぎても、怒られた。
「何度も、確認させるんじゃねえよ。1度で、わからないのかね?まったく、今どきの社会人は…」
どうしろと、いうのだ?
高齢者らとも、まずは、生きた社会背景が異なった。
彼らは、あまりに豊かな時代に、社会に出ることができた世代。
頑張れば頑張るだけ結果が得られた事情の中で生きてこられたこともあって、その生き方に慣れきってしまっていた。社会に出たときから、
「努力さえすれば、なんとかなる」
そう信じることのできた彼らは、その彼らによって努力が台無しにされ苦しんでいる労働者がいることなど、わからなくなっていただろう。
「我々は、それほど苦労することもなく、社会に出られただと!バカに、するな!我々は、競争社会だったんだぞ!我々だって、充分に、苦労してきたんだぞ!」
怒ってきた。
たしかに、競争社会で生きてきたと主張する点は、間違ってはいなかった。
それは、ごもっとも。
だが彼らは、その競争で勝てれば、上にいけた。努力次第で、道は、開かれたのだ。
そして一旦レールに乗れれば、終身雇用と年功序列のメカニズムが働き、悠々自適な生活を送ることが、可能となったのだ。
今、そんな素敵なレールは、ないのに。
レールの副作用は、大きかった。
会社には、働かない妖精さんが、うじゃうじゃ。
「中高年や高齢者のしてきた苦労と、今の社会の人が強いられ続けている苦労なんて、比較にならない」
そう、何とか、理解させてみたいものだ。
今、入社試験を受けさせてみれば、良くわかるそうだ。
ぬくぬく安心して会社のイスに座り続けられ、今、丁寧に懸命に働いているパート労働者らに平気で文句を言えるタイプの人は、ほぼほぼ、今の入社試験では落とされる。
「お電話、ありがとうございます」
その応対に反感を覚えてしまう人は、下で必死に働く人の事情など、理解できはしない。
好景気組には、適正な自尊心も、芽生えにくかったものだ。
過去の価値観に縛られて脳のコントロールを失ってきた客の相手は、本当に、面倒。
「お母さん、かわいそう…」
私が言うと、妹が、押してくれた。
「お姉ちゃーん!おもしろいことが、かいてあったよー!」
新聞をもってきて、広げはじめた。
その記事の見出しは、こうだった。
「脳のコントロールができないと、どうなってしまうのか」
「ほう、なるほど」
「読んでー」
そこには、こんなことが、書かれていた。
「社会では、努力さえすれば、右肩上がりで必ず上手くいくと信じている人たちが、いる。その人たちには、注意。相手の些細な対応に激高してしまい、あろうことか、本社相手にクレームを入れてしまう人が、いたようだ。おい!おたくの会社!A支店のBという社員は、何だ!私の注文もそうだが、住所や名前まで、繰り返して言ってきたぞ!オウムじゃ、あるまいし!君たちはなぜ、繰り返して言ってくるんだね!こっちが高齢者だからって、バカにしているのかね!耳が遠くて良くわからなかったんじゃないのかと、そう思っていたんじゃ、ないのかね!私を誰だと思って、いたのかね?この国を作ってきた者たちなんだぞ!まったく…。礼儀が、なっていない。おたくの会社は、社員に、どんな教育をしているのかね!責任者を出しなさい!責任者!私から、良く言って聞かせる!…そういうことを言ってくる人が、意外にも、多く存在する。好景気を生きられた、世代。今あなたが働いてみれば、いろいろと、わかります」
読んでいて辛くなる内容、だった。
「おたくの会社は、社員に、どんな教育をしているのかね!責任者を出しなさい!責任者!私から、良く言って聞かせる!」
そうは、言いますが…。
「責任者に言って聞かせれば、状況は、変わるはずだ。教育しろ。会社が、ひいては、社会全体が良くなるはずだ」
まさか、そんなことを、本気で、思っていたのだろうか?
社会の事情を、理解しようともしていなかったのだ。
これが、コールセンターの苦労がわかる人客だったなら、こう考えられた。
「本社に連絡を入れたりしても、どうなるものでも、ない。そんなことをしても、何も変わらない。苦労する人の気持ちには、立てない。学校の先生も。児童生徒の身になって考えられないから、つらくなる」
そうして、怒りの行動に移るのを、やめただろう。
やめられるのは、怒りを抑えるアンガーマネジメントが、できている証拠だ。
「アンガーマネジメントができない人は…時代の変化に、対応できない人?」
悲しい記事、だった。
母の気持ちを、考えてみた。
私こそ、泣けてきてしまった。
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