Ⅲ.奪われた日常
怒号、
日曜日の商店街は非日常的な絶望で
逃げ惑う人々や店員。
それを追いかける、アメリカンポリスの姿をした数名の男。
彼らは
その攻撃を受けた者達は
「熱い、熱い、熱いいいいい!」
「チョコだけは、チョコだけは許してくれえ!」
「い、いや、私こんなに甘いの耐えられない……! イヤァー!」
そこに慈悲はなく、ただ機械的に行われていた。
「クソっ!」
車太は何も出来ない自分に腹を立てながら、自転車を駆り、朱希のアパートへと飛ばしていく。
しばらくすると、街は日常を取り戻していた。
どうやら
つまり、犠牲になった者は──。
酷使した太ももは、パンパンに
「こりゃ明日、筋肉痛になるな」
自分から漏れ出たあまりにも平和的な言葉に苦笑する。
明日まで、何とか生き延びないといけない。
ため息をつき、ふと気配を感じて背後を振り向くと。
「猪口車太、追いついたぞ。貴様を逃がすことは無い」
先程の巨漢
「うわああああ!!」
慌てて自転車に飛び乗り、全力で漕ぎ始める。
一瞬背中を振り向くが、ほぼ同じくらいのスピードで走っている。
やはり、人間ではない。
そう思い、前を向く。
と、交差点の信号は既に赤になっており、横から大型トラックが突っ込んでくる。
叫ぶ余裕すらなく全力で駆け抜け、間一髪のところでかわし、振り向くと。
トラックも難を逃れるため寸前でハンドルを切り、そのままの勢いで歩道へと突っ込んでいき、その先には、――小さな子供がいた。
凄惨な状況になるはずの、その瞬間。
そして、立ち上がる。
サングラスは吹き飛び、顔の左側は皮膚がめくれ、まるで筋肉のように複雑に編み込まれた黒い金属骨格が露出する。
左腕はぶらんと垂れ下がり、左足も損傷したのか足取りはやや
「嘘だろ……」
車太は慌ててペダルを漕ぎ出す。
朱希のマンションまで、もう目と鼻の先だった。
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