第2話

俺は見てはいけないものを見てしまったが、

見なかったことにした。


「だ、大丈夫か?」


「う、うん、まぁ.」


俺は彼女に手を差し出した。

でも、振り払われた。


「優しくしなくていいから!一人で立てるっ!」


「そっか...」


彼女は立ち上がり、ツンツンしながら

俺の前からいなくなった。


さて、放課後。

俺はいてもたってもいられなくなり、

教室内でだべっていた三人組に「おい!」と

声をかけた。


室内には俺と性格の悪い三人しかいなくて。

問い詰めるなら今だと思った。


「まさかおまえら、西野アイリのショーツ、とったんじゃねぇだろうな」


「はぁ?なにを根拠に?」


「昨日の電車での会話だよ!

俺は全部聞いていたんだからな!」


「ショーツ、

明日もとっちゃう?とか話してただろうがよ!!」


俺は三人に立ち向かったが。

三人のなかの女子ボスが空手をやってて。


陰キャな俺は

結局、負けた。



でも、通りすがりの担任の先生が騒ぎを聞きつけ、俺が床に倒れる場面を目撃してくれたんだ。


三人組と俺の会話も全部聞こえていたとのことで、三人組は停学処分からの留年が決定した。



結果、美少女への嫌がらせはなくなったのだった。


これは後で担任の山田先生が話してくれたこと。

三人の犯行理由は、授業まじめに受けないくせに学年一位だったから、頭にきたんだと。

それと、容姿がずば抜けてよかったから

羨ましかったみたいで。


翌日、登校したら

下駄箱のところで西野アイリが俺を待ってた。




「担任の先生が昨日の放課後のこと。

色々と話してくれたの。山吹くん、

どーやら、私のこと助けてくれたらしいじゃん」


「ありがとね!」


滅茶苦茶可愛い笑顔でお礼を言われた。



かなりの歳月流れて。

季節は春から冬になり。

2/14日のバレンタインデー。


俺は生まれて初めてバレンタインチョコを

女の子からもらった。


しかも、手作り。


続けて、告白もされたんだ。


「山吹くん!私のスカートのなか、見たんだから、責任とって、付き合いなさい!」


「それから、カーディガン、返す!!

いまのいままで、誰のものか全然わからなかったけど、洗濯表示タグのところ見たら、小さな字で山吹って書かれてたの、お母さんが見つけたの!」


「私の腰回りにかけてくれたのよね?

ありがとうっ!」



チョコに、続いて

紙袋に入れられたカーディガンもかえってきた。

クリーニングの札がついてた。


どーやら、俺がスカートの中を見たこと、

アイリにバレたようです。


「チョコはね、手作りなの!

昨夜、お母さんにチョコの湯煎のしかた教わって頑張って作ったのよ!!」


「お父さんにも味見てもらったりして、

男の人の好みに合わせようとしたりして

いろいろ、試行錯誤したんだからっ!」


「あ、ありがとう」


「ね、ねぇ、ちょっと今ここで、

味見てくれない?」


「え、ここで??」


ちょうど校門のところだった。


外で、周りには何人かの生徒が帰宅を急いでいた。


不思議顔で俺らのこと見てた。


特に男子の先輩や後輩、

同級生たちが


「なんで、茶髪美少女とインキャがイチャイチャしてんだよ?」と言いたげな

目をしてた。


「はい、あーんして」


「ええええ!?」


俺はチョコを差し出され、周りの目があるなかで食べる羽目になった。


「どう?美味しい?

甘さ、控えめにしたのよ?」


その目は。

心配そうな目だった。



「うまいよ...」


俺は率直に感想を告げた。


「ほんとー!?よかったぁ!!」


それから俺は不意に抱きつかれ。


顔真っ赤になった。


それから、すぐに。


更に顔を赤くする羽目になる。


「んんっ」


これはお互いの口元から漏れた音。


彼女にキ、キスされたのだ。



「チョコの味がする...」


「そりゃそうだよね、チョコ食べたんだもんね」



彼女はひとりつっこみから、そう納得して、


「さ、一緒に帰ろう!」


と俺の右手をぐいと引っ張ったのだった。



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ベンチで横たわってたヤンキー美少女のスカートの中(レース使いのピンクパンティー)をガン見した弱小陰キャ→なのに彼女にベタ惚れされてしまってバレンタインチョコまで貰った件 雲川はるさめ @yukibounokeitai

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