ミリアって何者?
酒を飲める歳でもないし、スマホもない世界夜は特にやることがない、明かりだけは魔道具の恩恵で充分に足りている、本ぐらいは読めるであろうが、こちらの世界の字がわからない、明日にでもミリアに聞いてみるのも手だな、そんなことを考えていると
「アルトー今日も絵本読んであげる?」
ノックもなしにいきなりアマンダが入ってきた、手には薄い本を持っていた。
「お姉ちゃんは字読めるの?えらいね」
褒められてかなりご機嫌になっている
「そうだよ、私はアルトのお姉ちゃんだからね」
このまま持ち上げて字を教えてもらうのも良いかもな
「へぇー僕も読みたいから教えてくれる?アマンダ先生」
「先生?私が?もっと呼んで」
「アマンダ先生お願いします。」
寝るまでの間アマンダは拙いながらも頑張って字を教えてくれた、こちらの文字は表音文字なので話す言葉の字を全部覚えればどんな本も読めそうだ、5歳のアマンダでも本が読める理由はそんなところにあるようだ
アマンダはそのまま俺の部屋で寝てしまった、ここでお姫様抱っこして部屋まで運んでいけばかっこいいのだが流石にこの身体では無理だ、ミリアを呼んできて運んでもらった
いくら5歳と言ってもそれなりの重さはあるだろうが10代の細い身体であっても軽々とお姫様抱っこしている、一体どこにそんな力があるんだろう、そう思って見ているとこちらに振り返り
「アルト様もそろそろ寝る時間ですよ、早くお休みになってくださいね」
「わかった、すぐに寝るよ」
ミリアとアマンダが退室し1人になったところでベッドに入ったが全然眠くはならない、アマンダが絵本を持ってきたってことは本が存在するってことだ、印刷技術が発展しているかどうかはわからないが、アマンダの絵本を見る限り手書きだった、かなり本は貴重なはずだ
本を保存している蔵書室みたいなところがあるはずだ、魔法に関する本を探しに行こう。
この家って怖ろしく広くてまだ全部の部屋を把握してないんだよな、アマンダの部屋が俺の隣で母親であるシャイアがその隣、ミリアの部屋ってどこだろう、さっきは一階に降りてから普通に声出して呼んだだけだし、とにかく寝ますって約束したから起きて居る処見られたらまずいってことだけはわかっている
「アルト様どうされました?」
「あっミリアか、トイレに行きたくて」
言った瞬間にしまったと思った、この家にトイレは存在しない、庶民用はあるが貴族である我が家は魔道具の肌着で吸収させる、それの許容量が一杯になると燃やして処理をする、つまりトイレの度に魔道具を消費されることとなるため、貴族にしか出来ない方法である
「違う、水を飲みたくて」
「先程お部屋に行った時には水差しには充分な量がありましたが、まさか奥様の部屋に行こうとしてませんよね?」
「そんなわけないじゃないか」
言った言葉も嘘であるため目が泳ぐ、ミリアは俺が母親と一緒でないと寝られないと思っている、水が欲しいも嘘だが、恥ずかしい解釈をされるのも不本意だ
「私が寝るまで部屋に居ますから今日のところはおやすみになりましょうね」
まあこれぐらいが折衷案ではあるかな、ホントのことは言えないので大人しくミリアに付いていく。
それにしてもミリアはどこから現れたのだろう、気配が全く感じることは出来なかった、ミリアを出し抜いて魔法の勉強をするのはかなり骨が折れそうだ
翌朝はストレッチをしてから走ることにした、今朝になって足が筋肉痛になっていたからだ、今日はアマンダは居ない、来年学校に入るためのお勉強らしい、普通は学校に入ってから勉強するのだが、貴族として優秀さを競わないといけないためある程度はできるようになっていないといけないようだ、その為半年前から1年の約束で先生が住み込みできている
名前は確かケイト先生と言ったかな、どこかの貴族の子女で入学前研修で各地を廻っているらしい、結婚の機会を逃してしまったアラフォーだ
おかげで今日は1人なのでたくさん走ることができる、時折休憩をしつつ、速度を一定にして走り込んだ、速度に慣れていくと徐々に加速していった、かなり家から離れたところに行くと池に出た
「アルト様、池には近づかないお約束ですよ」
ミリアが目の前に立っていた
「池の場所知らなかっただけだよ、すぐに戻るよ」
今度は嘘ではないので信じてもらえた、それにしてもミリアって何者なのだろう、まさか隠密のスキルでも持っているのだろうか
お昼の後も走り込みは続けたがただ走るだけってのも飽きてきた、大事なことなので疎かにはできないが、この後は違うことをしよう
家の中に入ると、疲れ果てた顔をしたアマンダが部屋のソファで横になっていた
「どうしたのお姉ちゃん、そんな顔して」
「ミリアが怖いの」
それについては俺も激しく同意をする。
「ミリアが勉強参加してるの?ケイト先生は?」
「教えてくれるのはケイト先生だよ、ただちょっとでも姿勢を崩すとケイト先生が」
「怒るの?」
「そんなこと致しません、ただ注意するだけです、ただ注意された場合は」
「場合は?」
「私がミリアさんを木の棒で打ちます」
「ミリアは悪くないのに?」
「いえ、常日頃私の未熟な部分がアマンダ様の姿勢に影響しますので」
「ミリアが叩かれる度に顔が怖くなるの」
何回も叩かれたら顔色も変わるってもんだ
「2年後に僕が教えてもらう時もミリアが?」
「もちろんでございます、私はその為に居るのですから」
なんか貴族って怖い。
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