ブラコン
魔法を使うと体力を消費することはわかった、まずは体力をつけることにしよう、地道にやっていくしかない
身体を鍛える上で大事なのはまずは足腰だ、走り込みをして作っていくしかない、幸いなことに敷地内の庭を走るだけで充分な距離があるので、庭を走ることにした、敷地内と言っても怖ろしく広い、敷地の面積もどれぐらいあるか全くわからない
自分の家のことは聞いてはいないが相当裕福なようだ、普通の平民の家でこんな広さは考えられない、おそらく貴族なのだろうが3歳の子供に爵位とか家計を説明する親は居ないであろう
ミリアには庭をお散歩してくると言ってある、池の近くには近寄らないと約束して許可をもらった、3歳の身体では頭が重く身体が小さく思ったようには動かすことはできないが、しばらくゆっくりと走っていると多少は慣れてきた、初日から飛ばすことはないのでゆっくりと鍛錬していけば良い
「アルトーなにやってるの?」
ゆっくり走っていると姉のアマンダが声を掛けてきた、どうも俺を探していたようだ
「しばらく寝ていたから身体を鍛えているんだよ、見ていてもつまらないからお姉ちゃんは違うことして遊んでて良いよ」
「やだっアルトは私と一緒に遊ぶ」
「じゃあ僕に追いついたら一緒に遊ぼうか」
少し本気を出せばすぐに引き離せるだろう、そう思ってさっきよりは速度を上げて離していくつもりだったが
「アルトって結構早く走れるんだね」
2歳しか変わらないが3歳と5歳の差は大きいようで、こちらがいくら頑張っても引き離すことが出来ない。
アマンダは追いつくとすぐ抱きついてくる、これでは走り込みどころではない
「今度はお姉ちゃんが僕から逃げてよ、僕が追いかけるから」
鬼ごっこのつもりで提案した
「アルトから逃げるって何で?」
どうも鬼ごっこが理解できなかったようだ
「じゃあ30分以内に僕の身体を触れたら一緒に遊ぶから、お姉ちゃんは僕を追いかけてね」
「うん、わかった」
今度はうまくいったようで良かった、なんとか10分ぐらいは頑張って逃げたがアマンダの方が素早かった、捕まった後は花遊びに付き合わされた、花は嫌いではないが花の冠や腕輪を付けられたのは流石に勘弁して欲しかった
鍛錬は中途半端になってしまったがアマンダとの仲はかなり深まった、これが吉と出るか凶と出るかは今のところなんとも言えない感じだ
夕方になり家に戻るとすぐにミリアが
「お食事の前にお風呂ですね、もう準備は出来ていますので」
3歳じゃ1人でお風呂危ないのはわかるけどお世話してくれる使用人がみな綺麗な女の人で恥ずかしいんだよね、裸ではないけど水に濡れると丸見えで裸よりもちょっとなんだよね
「1人で入るのだめかな?」
「そんな危ないことさせられませんよ、どうされたのですか?前まではお気に入りの者を指名までしていたのに」
前までの俺って色々おませさんだったみたいだ、ならまた指名しても変に思われないかなと思っていたら
「アルト様は男の人の方が好きでしたよね、かなり強くこすられるのがお好みだったようで」
おませなんじゃなくてかなりのマゾでしかもホモか、俺にはそんな趣味はないぞ、同性嫌悪と言うべきか男の裸なんか見たくもない
「誰と言うわけではないが女の人なら誰でもいいです」
「はい、かしこまりました、随分と嗜好が変わったのですね」
少し恥ずかしい思いをしながらお風呂に入るとすぐに夕食だ、こちらの食事はかなり美味しい、異世界だと調味料が希少の為かなり薄味だと思い込んでいたがこの家では塩も胡椒もふんだんに使用しておりしっかりとした味になっていたが
炒める、焼く、煮るの3種類の料理法しかないようだ、それでも素材自体が美味しいので全体的には満足できる味になっている
「今日はねアルトとお花遊びしたの、アルトに花の冠作ってあげたらすごく喜んでた」
アマンダが口からポタポタとスープをこぼしながら一生懸命今日あったことを話していた
「そう、それは良いことしたわね」
お母様が微笑みながら相槌を打っている
「アルトは花が好きなの?」
アマンダの手前嫌いとは言えないし、かと言って好きと答えるのは憚られる
「嫌いではないですが、お姉ちゃんが作る物なら好きですね」
うん、問題なく応えられたと思う、好きでも嫌いでもなく、相手を持ち上げる、日本人的答え方
「アルトお花好きじゃなかったの?」
アマンダが悲しそうな顔をして聞いてくる
う〜ん、完全に間違えたな、正直女の子慣れしていないのに無理した弊害が出たようだ
「ごめんなさい、興味はない、ただお姉ちゃんが嬉しそうに作ってるの見たら僕も楽しかったよ」
「それなら良かった」
多少は機嫌を直してくれたようだ
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