落ちぶれかかっている我が家は俺が立て直す。

劉季邦

目覚め

身体が熱い、熱があるようで身動きが出来ない、手足が金縛りにでもあったようで重い、目を開けようとすると頭がズキズキと痛む


「アルト?大丈夫?」


声は聞こえるが返事をするのも鬱陶しい、いつまでこの痛みに耐えなければならないのか、、、そこで意識を失った


「もうすっかり良くなったようですね、昨日はいきなり倒れてしまったので驚いてしまいました。」


ベッドに寝ているところに、金髪の20代前半、下手したら10代かもしれないスレンダーな美女に声を掛けられていた、俺に外国人の知り合いは居ないはずだ


「どなたですか?」


失礼を承知で問いかけた、寝ている場所を確認すると自分の部屋でないことはわかった


「ミリアのことをお忘れですか?アルト様が生まれた時からずっと世話をしていましたのに」


アルトって誰?俺はナオシだし、誰かと勘違いしてる?ただ相手も動揺しているようなので人違いのことは後でわかってもらえばいいので、まずは話を合わせる


「すみません、意識がまだはっきりしていなくてあまりよく認識できないのですよ」


「そうですか、それなら仕方がないですね、昨日の夜は奥様も遅くまで看病していたのですよ」


「はあ、それはすみません、お陰様で体の調子も良くなりましたのでそろそろ失礼して帰らせていただきますね」


「あの、アルト様?どこに帰るのですか?ここがアルト様の部屋ですが、奥様と一緒の部屋が良いってことですか?もう3歳なのですから流石に一緒の部屋で寝るのはちょっと、、、、」


こいつは何を言っているんだ、いい大人を捕まえて3歳なんて目が見えないわけでもあるまいにベッドから立ち上がるとバランスを崩して倒れてしまった、立ち上がると違和感に気がついた、言われた通り幼児の身体になっていた


え?どうゆうこと?気が動転して何も考えられない。


「そんないきなり起き上がると危ないですよ、今奥様を呼んできますね、ベッドに寝て待っててくださいね」


言われるがままにベッドに戻り、ミリアが出て行った後に少し思い返してみる


昨日はいつもの通り道場で門下生を教えた後に同僚の師範代と酒を飲んで、、、その後自宅に帰った記憶がない


俺は死んで転生したのか、前世の記憶があるのは謎だが今世の記憶がまるでない、俺は3年の間どう暮らしていたのか


「アルト元気になって良かったわ」


「アルトー遊ぼー」


先程のミリアと少し年上の金髪さんと同じく金髪の幼女が部屋に入ってきた、恐らく母親と姉なんだろうけど、全く見覚えがない、一つだけ言えるのはみな美人だ、身内でなければ口説くところだ、もちろん幼女を抜かして


「どうもお世話になりました」


「なんかいつものアルトらしくないわね、いつもなら私を見つけると抱きついてくるのに」


「アルト変だー」


いくら3歳児でも中身は35のおっさんだぞ、恥ずかしくてそんなこと出来ない、したほうが怪しまれないがわかっていたとしても中々行動に移すことは無理だ


「まだ本調子じゃないだけですよ、回復したら元に戻ると思いますので、少し休ませてもらいますね」


なんか変だなと言いながらみんな出て行ってくれた、うまく誤魔化したようには思えないが記憶がない以上どうしようもない





それから数日経ち家の中を自由に動き回れるぐらいには回復した、そこでわかったことがある、俺が転生したのはどうやら異世界のようだ、と言うのも家の者が普通に魔法を使っていた、火を付けるのも指先から、水を出すのも手の平から、魔法が存在する以上地球であることは考えにくい


子供の頃一度は夢見ていた魔法を使えることにワクワクしている、ただ魔法を使えるようになるにはこちらの世界の小学校に行ってからとミリアに聞いたので6歳まで使用禁止のようだがそんなの待ってはいられない、何か方法があるはずだ、魔法を使っていた母親に聞いてみた


「僕お母様みたいに魔法を使ってみたいんだけどどうやればいいの?」


「身体が未熟な内は使っちゃダメなのよ、魔法ってかなり体力使うものですからね、心配しなくても学校に行けば使えますよ」


ってことは体力さえあれば使ってもいいってことだな、身体を鍛えることは慣れている、前世では有名な空手家として全国2位までいったことがことがある。


友人もネットもない退屈な世界でまずは目標ができて良かった

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