精霊の歌

https://kakuyomu.jp/works/16816452218607939265/episodes/16816452219221466462


 ↑の続き。読まなくても平気。




 言葉を話さない、人と区別するための名前もない、森の精霊(と、思われる)彼女には、迷った挙句言葉を教えていない。のだが、最近言葉を話すようになった。時折友の小鳥の真似をして、チュンチュンさえずるくらいだった彼女の歌らしきもの。それが音と音がつながった、人の言葉と成したのだからたまらない。


 ──す、き、だ。スキダスキダ、すっ、き、だ。


 ああ俺は、言葉が分からない彼女が覚えるくらいの数、この言葉を重ねたのだな。彼女のそばでさえずる小鳥のように、というには俺は見た目がゴツすぎるが。


 詩歌の詩が三文字だけでは寂しかろう。彼女は気にしないだろうが。


 ──今度は、愛している、でも教えようか。




  Twitter300字ss第五十三回お題……「歌」(本文293文字)

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