第119話 キングガーマの捕獲
ーーコルポコの沼地ーー
俺達はテラスネークを陸地に誘き寄せる為、その餌になる沼地に潜む大きなカエル、キングガーマ捕獲に乗り出した。
俺はスキル
「見つけた!」
それは俺達の立つ陸地から200メートル先。沼の水面から僅かに両目を出してキョロキョロと辺りを伺っていた。
キングガーマは体長10メートルほど。
俺の神腕を使えば一撃だろう。
虎逢真は眉を寄せる。
「タケル!! この沼地はキングガーマの巣なんじゃ! 迂闊に入れば命がない! じゃから待てぇッ!!」
「断る」
「このバカチンがぁああッ!!」
「スキル
ギューーーーーーーーーーーンッ!!
キングガーマは周囲100メートルの敵を察知して逃げるという。
ならば察知するより速く近付けば良いだけ!
俺は沼地の水面をダダダと走る。
すると、水面のあちこちから何かが飛んで来た。
即座に発動。
「スキル
全てはスローモーションに見える。
それは弾丸の如く、凄まじい速度で飛んでくるピンク色の舌。
キングガーマの舌攻撃だった。
なるほど。虎逢真が言っていたことはこれか。この速さからして喰らえば一撃で身体は貫通、即死か。
しかし、当たればの話。
俺は即座に体をかわし、側面から舌を掴み取ろうとした。
ニュルン!
滑る!
唾液とツルツルした体質で掴めないのか!
当たれば即死。
そして掴めない。
やれやれ、ならば避けよう。
スキル
キングガーマの凄い所は舌攻撃の戻りの速さも上げられる。
瞬き一つで既に戻っており、水中からの攻撃で発射地点がどこなのかわからないのだ。
神眼で発射地点を把握したところで、本体は水の中。迂闊に入ればどんな目に遭わされるかわからんな。
なるほど。Sランクなのは頷ける。
殺傷力の強い技と凄まじい速さ。そして臆病か。
水中にいるカエルを攻撃するにはリスクが高い。水龍操を使うにしてもこの粘着質。泥水すぎて上手く操れない。
やはり、水面に目を出していた奴を狙うのが得策か。
神速で移動。
初めに目をつけていたカエル。
目前に到達。
「捉えたッ!」
神腕の一撃!
ドンッ!!
しかし、それは同時。
キングガーマは水面を爆発させて跳ねていた。
ドパーーーーーーーーーーーーンッ!!
俺の攻撃は当たらず、沼地の泥水が身体にかかる。
やれやれだ。
図鑑に載っていたとおり、反応が早いな。俺の攻撃と同時に奴は身体が動いていた。つまり、俺が100メートル以内に入った時に反応して動き出していたわけだ。
しかも逃げた先は沼地に潜ってどこにいるのかわからない。これでは探すことは不可能だ。テラスネークもそうだが、水に潜る敵は厄介だな。
それに、水面にいるだけでキングガーマの舌攻撃があちこちからやってくる。
一旦戻ろう。
俺は舌攻撃を回避しながら神速を使ってみんなの所へ戻った。
「だから言ったじゃろうに! タケルは無茶しすぎじゃあ! 奴は沼地の中ではSランクモンスターなんぜよ!!」
無茶ってのは無計画と似ているんだ。
俺はそんな無駄はしない。
「敵の雰囲気はわかった。例えばだが、ユユの転移魔法でキングガーマの目の前にいって俺の攻撃を当てることはできないだろうか?」
転移魔法使いのユユは眉を寄せる。
「転移魔法でキングガーマの目の前には出せるけどーー。転移魔法は出現するまでに時空の歪みが生じるからーー。それに気がついてすぐに沼の中へ潜ると思うーー」
「飛び跳ねないのか?」
「魔物図鑑によればーー。大きく飛び跳ねるのはーー。危険を感じた時だけと書いてあるーー」
「なるほど。慎重な奴だ」
「タケルーー。さっきは上手く避けれたけど。キングガーマのジャンプに巻き込まれたら沼地にハマって命を落としちゃうよーー。奴がジャンプするのは体当たり攻撃と移動を兼ねているんだーー。時間がかかってもさ。慎重に罠を仕掛けようよーー」
時間がかかるのは不味いんだ。
なんとしてもロメルトリア大陸に急ぎたい。
「大丈夫だ。俺を信じろユユ」
「う、うん。信じてるけどーー。心配だようーー」
「よし。虎逢真、お前の遠距離攻撃はどれくらいまで届くんだ?」
「そうじゃのう……。50メートルくらいかの」
「うむ。十分だ。お前は沼地の水面を走ることができるか?」
「無茶じゃ。いくらおいの移動技、
「よし。目処は立った」
「「「 どんな?? 」」」
みんなは目を見開いた。
みんなが首を傾げている間、俺はスキル
「よし見つけた! 前方300メートル先だ」
「よぉ見えるの〜〜。どこにそんなもんがいるがか?」
「ユユ。ここから200メートル付近。キングガーマがギリギリ察知しない距離に転移魔法陣を出せるか?」
「出せるけどーー。どこに転移させるの?」
「俺達が今立ってるここだよ」
「え?? 意味がわからないーー」
「虎逢真。遠距離攻撃を打つ準備をしてくれ」
「は?? キングガーマは300メートル先じゃろう? おいのは50メートルしか飛ばんぜよ」
「ああ、それでいいんだよ」
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