第118話 テラスネーク退治

俺はスキル闘神化アレスマキナ神腕を使ってテラスネークの背に一撃を喰らわせた。


ドパーーーーーーーーーーーーンッ!!


しかし、硬い鱗と海水がクッションとなり今一つダメージ効率が悪い。

蛇はこちらに攻撃することもなく、荒波を立てて海の中に潜ってしまった。


やれやれ。

海の中に潜られてはどうにもできん。

闘神化アレスマキナでは海の中で呼吸ができないからな。

やはり地上に出さんことにはこの蛇は倒せんか。


俺は港に戻った。


「タケル! おんしは凄い男じゃのぉッ! あのテラスネークがびびっちょるがよ! しかし、戦いに焦りは禁物じゃ! 作戦会議と腹ごしらえを兼ねて、昼飯と行こうぜよ!」


ロメルトリア大陸にいるオータクが心配なのだがな。テラスネークを倒さんことにはどうにもならん。


俺と僧侶リリーは虎逢真達と昼飯を食べることにした。



◇◇◇◇


ーーコルポコのレストランーー


「ここってこの町で一番高い店じゃないですか?」


リリーは眉を上げた。


「良えっちゃ! 良えっちゃ! 気にせんで良えきに! ここはおいの奢りじゃき。メイドさーーん! 肉と酒をじゃんじゃん持って来てくれんかーー!」


転移魔法使いユユは呆れる。


「もーー。虎逢真飲み過ぎーー」


「ははは! まぁ、多目にみいよ! タケルには世話になってしもうとるんじゃ。お礼をせんと罰が当たるぜよ」


「タケルにご馳走するのとーー。虎逢真がお酒飲むのは別ぅーー」


「なははは! まぁ、細けぇことは気にせんと! ホレェ! お前は果物ジュースをたっぷり飲んだら良えじゃろが!」


「も〜〜」


「リリーさんもユユと同い年じゃき、果物ジュースで良えな?」


「は、はぁ〜〜。まぁ、そうですが」


「メイドさーーん! ここの店で一番、美味い果物ジュース出してくれぇッ!!」


うーーむ。

俺のことを巨獣ハンターなんて嘘をついていたから、そのことを問い詰めてやろうと思ったが、この気さくな感じでは言いにくいな。


パン!


虎逢真は手を合わせて頭を下げた。


「タケル! 言いたいことはよくわかっちょる! けんど、おいとユユでは町長を納得させるにはちぃとばかし弱いんじゃあ! じゃから、このテラスネーク退治は、おんしとおい達とで巨獣ハンターとしてやってくれんかのぅ? 頼む! このとおりじゃ!」


「うーーむ……」


ユユは頬を赤く染めてオレンジジュースをチュルチュルと啜った。


「ユ、ユユもタケルが協力してくれたら嬉しいなーー」


リリーは笑う。


「タケルさん! 2人共困ってるみたいだし協力してあげましょうよ! テラスネークは私達も倒さなければいけないと思いますし。ただ手柄を巨獣ハンターのモノにすれば良いだけじゃないですか」


うむ。確かに。


「しかし、断っておくが、テラスネーク退治の便宜上だぞ。俺とリリーはこの町では巨獣ハンターを名乗るが、本質はフリーだ。ややこしいことに巻き込まれるのはごめんだからな」


「本当です! そこだけはハッキリしといてくださいね! タケルさんと私がギルド長にお尻ペンペンされるなんて嫌ですからね!……ま、まぁ。タケルさんがお尻ペンペンされてる姿は、見たくないわけではないですが……」


「リリー。冗談はよしてくれ」


「アハハ! だってタケルさんいつもクールだから。たまにはお尻ペンペンされても可愛いかなって……」


「やれやれ……」


「エヘヘ。冗談です。冗談♡」


リリーは俺に抱きついた。


「ほぉ〜〜。夫婦ってのは本当なんじゃなぁ。仲が良え」


ユユは眉を寄せてつぶやいた。


「リリーは良いなぁ……」


メイドが俺と虎逢真の酒を持ってくる。


やれやれ。昨晩も飲んで、昼からも飲むのか。


「よっしゃあ! テラスネーク退治の作戦会議じゃあ!!」


◇◇◇◇


ーーコルポコの沼地ーー


俺達は虎逢真の作戦で町外れにある沼地に来ていた。


かなり広い。


地平線まで沼地が広がっていた。


「ここはキングガーマの生息地じゃあ! 蛇はカエルが大好物じゃからの! ここでキングガーマを捕獲して、それを餌にしてテラスネークを港まで誘き寄せる作戦じゃあ。名付けて、『キングガーマで誘導大作戦』じゃあ!」



ユユは魔物図鑑を読みながら捕獲方法を説明した。その声はいつものように眠たそうである。


「キングガーマは体長10メートルーー。重さ5トン。深緑の体色で警戒心が強いんだってぇ。半径100メートルに敵が近付くと逃げるみたいだよーー。本来Aランクのモンスターなんだけど、沼地にいる時はSランクに匹敵するんだってぇ」


Sランクか……。

まぁどうって事はないな。

それより警戒心が強くて、水に入るのが厄介だ。

俺達がこの沼地に来た時に、凄まじい風と沼地に飛び込む音が聞こえたから、おそらくキングガーマが隠れたのだろう。


そうなれば遠距離攻撃を当てるという方法が有用か。


「おいの獣罵倒ビーストスラングには遠距離攻撃技があるんじゃがな。カエルの身体を傷つけてしまっては蛇の餌にはならないんじゃ。それにおそらく見切られて逃げられるじゃろう!」


「ふむ、ではどうする?」


「罠を仕掛けよう思う! 材料を買うて、組み立てて設置して……。捕獲を待つとして、まぁ1ヶ月くらいで捕まるんじゃなかろうか」


かかり過ぎだ。

一刻も早くロメルトリア大陸に渡りたいんだ。


「今日中に捕まえよう」


「どうやってやるんじゃ!?」


「まぁ、見ておけ」


俺は闘神化アレスマキナ神眼を使ってキングガーマの姿を探した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る