ep.11 商業打診の公式お知らせについて思うこと

 二月十五日付の公式のお知らせ「作者の皆さまへお願い」を拝見していて、都度思うことがある。


 すでに目を通した諸兄も多いと思うが、内容をかい摘むと「よそから出版の打診があったら、とにかくまずカクヨム運営に連絡して! 受けるとか受けへんとかは芸者の時にするハナシやから! まず運営に連絡して!(※大いなる関西風意訳)」というやつだ。


「皆さん、そないお声がけいただいとるん? エライことやなあ」

(違う、問題はそこじゃない)


 カクヨムの端っこで好き勝手に反復横跳びしてるような私には、正直全く関係のない話だけれど、そう言えば、先々月あたりも同じような告知が出ていたなぁと、比較的記憶に新しいから余計にそう思う。

(カクヨムコンの開始と終了のタイミングだから、ただのリマインドなのかもしれないけど)


 もっとも、カクヨムにしてみたらサービスの提供そのものが潜在的な売上臭のする作家を発掘&囲い込み(一種の青田買いみたいなものだよね?)をすることが目的という面も勿論あるだろうから、プラットホームだけを提供して売上をよそのレーベルに掻っ攫っていかれることに待ったをかけることも当然だろう。


 しかし、これだけ積極的に公式から短期スパンで告知が入るということは、往々にして「気が付いたらよそから出版」されていたという事態を招いたケースがあったと仮定した場合、「公式がその事実関係を重く受け止めている」ということに他ならないと考えて良いと思う。

 確かに、私も思うところはある。


 web小説といえば、一度はやりたい……云々の近況でも軽く触れたが、「悪役令嬢」とか「断罪」とか「ザマァ」とか言われるジャンルの商業書籍を読み漁っていた時、正直に思ったのが「この手の(流行の)話題に一噛みしてる出版社、多いんだなぁ」ということだった。

 中には、この手のジャンルにパッと直結しないような出版社もあったから驚いた。

(扶桑社とか主婦と生活社とかなんかも、悪役令嬢断罪モノ出してるの意外だなって思ってしまったよ。私の認識が甘いだけかもしれないけどね)


 それに、多くの書き手がカクヨム一本で作品公開というよりも、類似他社サービスを併用しているケースは多いと思う。


 ちょこちょこ読み回っていると、小説家になろうやアルファポリス、ノベリズム等々にも掲載と注釈を入れている作品を多々目にするので、玄関の他にお勝手口を設けているユーザーは多いのだろう。

 この辺り、元々他社サービス併用(同時掲載)を忌避していたカクヨム陣(一昔前なら「マルチポスト」行為として嫌厭されるやり方だから、SNS普及前のネット世代としては、一定の理解はできるけれども)の規約緩和で、裾野が想定以上に広がったことも一因なんだろうと勝手に推測している。


 逆に、よそから移ってきたパターンの書き手にしてみたら、カクヨムの方がお勝手口という認識の人も少なからずいるだろう。


 その手の話に絡んだことがないから(私の場合は、単に自分で複数アカウント面倒見きれないので、とりあえずカクヨム一本というスタンス)、実態がいかほどかは想像する他ないのだか、きっと揉めたケースも少なからずあるんだろうなぁと、ぼんやり思ってみたりする。

 過去、他人様の近況やエッセイで「(出版の)話が決まってから(運営には)事後報告でも問題なし!」とかポロッと吐き出してるユーザーが(ツイッター上に)いたらしいという話も又聞きしていたりするので、氷山の一角として、そういうケースもあったのだろう(知らんけど)。


 書籍化を夢見る書き手は、今一度、心に留めておくに越したことはないと思う。

 ビジネスパーソンに大事なんは、報告・連絡・相談(=ホウレンソウ)そして何より、ギブ&テイクの信頼関係なんよ、真面目な話。


 これ怠ると、マジで会社同士で泥沼に揉めて裁判沙汰になること普通にあるからな……巻き込まれる社員は大変よ。

(ええ、他業種の話だけどね。げっそり)


 まあ、中にはカクヨム運営的にはノーマークだったけど、よそから出されても困るから〜って(出版の)話を潰された!(→ だからよそから出版を強行した)とかいう災難を被った作者がいるなら、それはそれとして別の問題になるけれども。

(あるんだろうか、そういうケース?)


 些細なことだけれど、コンテスト応募作品の場合、なる早で連絡ちょうだいと公式が呼びかけしている件、もしよそから出版します〜って話が来たとして、連絡したらその時点でコンテストから除外するって処置になるのかな?

 などと、気になってみたりした。

 それとも、「いや、うちも選考中やから、その話一旦保留してな!」ってことだとしたら、打診のあった作者はなんだかベストなタイミングを逃しそうで、ちょっと可哀想だな、などと端から見ている分には思ったりもする。


(どちらにしても、ややこしそうな話だ。by インターネット老人会)

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