ep.03 タイトルはドナドナする時に決める

 本格的にカクヨムに投稿を始めて、ふた月ばかりになるが、改めて頭を悩ませるのが章題のとおり、「タイトル」である。


 書きたいことを書き散らかす性分であるため、私はもっぱら「後決め」するタイプだ。というよりも、最後までタイトルを決められない……と表現する方が正しい。


 最初にタイトルありきで、書きつづろうと試みた時期もあるにはあるのだが、たいていにおいて、途中変更を余儀なくされた——ように思う。


 特に筆致が定まらない時期は、想定タイトルと実際内容が、かけ離れていくという惨事に見舞われることが多かった……。タイトルだけつけて、中身真っ白という謎ファイルも存在している(いったい何が書きたかったのだろう)。


 そしてそれは、もれなくエピソードタイトルにも当てはまる。


 私は基本的に、章立てしながら作品を書くということを、あまりしない。

 作品自体が掌編・短編、時々中編という長さなので、章立てよりも、とにかく本文ありきで一通り書き散らかしてから、推敲段階の終盤に入ってようやく章立てに取り掛かるという流れに、自然となる。


 余談だが、現在の執筆環境は、MacBookProに標準搭載されているpagesという文書作成ツールだ。縦書き二段組の設定で、ばっくりと書き散らかしては、ローカル保存という手順を繰り返している。


 短編(カクヨムの定義は一万字以下のようなので、厳密に短編とは言うのははばられるが)から中編に取り掛かる時、まずは書きたいストーリーを、だいたい五千から一万字程度で書き散らかして大枠を組んでいく。

 この段階では、会話文過多だったり、必要情報の羅列だったり、面倒くさい時は「何々がこうこうで、こんな展開」というような適当な箇条書き調の文章が散見される。同じ表現や語彙を繰り返しても気にしない。


 絵画で例えるなら、デッサンをしている感覚に近い。


 デッサンで全体像が粗方あらかた削り出されたところで、細部の肉付けを開始する。人物や風景の描写、会話文や状況の整理などが主で、この時点で、文字数がおおよそ二倍から三倍程度に膨れ上がる。この段階では、まだ章立ては行わない。

 ローカルフォルダには、この段階を経て初期推敲の作品群が転がり倒している状態だ。作品タイトルも未定であることが多く、適当に、ジャンル+題未定+番号、あるいは変更前提の仮題で保存している。


 ここから、「私、馬鹿よね。お馬鹿さんよね」と自認する、阿鼻叫喚のが始まるのである。


 個人的には、短編と認識している三万字未満の作品一本あたりに、早くて二、三週間、長くてひと月以上かかる推敲作業に取り掛かる。

 主な内容としては、人物像の彫り込み、情景描写の作り込み、散らかした伏線の回収確認、文言や展開の修正等々である。一旦膨らませた文章を冗長だと感じた時は、バッサリ消し去ることも、ままある。


 この作業は、やればやるほど沼にはまるので、引き際の見極めが毎度の課題だ。

 この無限ループから抜け出せないから、どれだけ整理してもローカルフォルダは、悲しいかな、延々とっ散らかっていく(自戒の念が深い)。


 一応、ここまで研磨した段階で、ようやく章立てに取り掛かる。


 基準にするのは、「大きな場面転換がある箇所」なのだが、カクヨム的読みやすさが、一話あたりどの程度の文字数なのかは、未だに手探り状態だ。

 何が正解かは一概に言えないため、この辺りのさじ加減は、毎作品ごとに、大いに頭を抱えている。


 何とか章立てして、じゃあタイトル……かというと、そうでもない。

 ここから、小分けにぶった切ったストーリー展開が、スムーズに読み手に伝わるかを再考する。すると、やはり補わないと前後のつながりが曖昧になってしまう箇所が、ぽろぽろ出てくるものだ。

 はい、修正〜。

 地獄の推敲、堂々巡りは、どこまでもつきまとう。


 まあ、疲れ果てるわ。

 それでも、性懲りも無く書き散らすのだから、前世はきっと、本の虫か何かだったのだろう。


 さて、お疲れ脳で一応の納得をしたところで、タイトルを考えることになる。


 作品自体は固まっているので、エピソードタイトルには、「内容を総括したもの」を、作品タイトルには、「最もフォーカスしたい言葉」をそのまま付けることが多い。

 なので、あまり捻りの効いたタイトルには、ならない……。これこそ、センスが問われるというのに、残念なことだ。


 やっとこ、公開作業ドナドナに取り掛かれる! 出荷ドナドナだ、出荷ドナドナとコピー&ペーストで、カクヨム上にエピソードを作成するのだが、ここでも一悶着あるのだ。


 縦書きと横書きで、印象変わる問題。


 当然ながら、縦書きだと何とも思わない句読点や改行、行間が、横書きになると不自然に見える——ということは、よくあることだ。

 はいはい、修正、修正〜。


 なぜ、初めから横書きにしないのか。

 それは、私自身の読みやすさのためだ。

 なぜか、ヨコ書きより、タテ書きの方が執筆中も推敲中も、しっくりと読みやすいと感じるのだ。ローカル作業量が圧倒的に多いため、縦書き二段組は、私にとって「鉄板テンプレート」ともいうべき仕様なのである。


 ともあれ、横書きで読みやすいと感じるよう(もっとも、個人主観なのだが)多少の修正を加えてのち、保存してから改めて、プレビューで確認作業を幾多繰り返すことになるので、速攻公開とは相ならない。仕方がない。石橋の上に三年座って、そこから叩いて叩いて、叩き割る性分なのだ。


 もう、いいだろう——というところまでくれば、あとは、翌日以降の適当な時間に予約をかけておく。


 作品の顔ともいうべきタイトル群が、最後まで決められないため、必然的に作品を仕上げてからでないと、そもそも公開できないのだ。書きながら公開という同時進行ができないのは、何とも歯痒い気持ちである。

 カクヨムの便利機能を、全然使いこなせていない……もう少し、思い切りよくなりたいものだ。


 蛇足としては、今エピソードも、とりあえず「タイトル」だけ仮入力しておいて、書き上げてから何度も読み直して、最終的に文言を決めた。


 タイトルと内容とのに頭を悩ませるという人は、開き直って「タイトル後付け方法」を試してみても良いかもしれない。スピード感は若干鈍るが、新しい境地に至る可能性は、十二分にあると思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る