第14話:3-5;戦いの後かな

 コオは目を覚ました。

 目の前にはナオが見つめる顔が見えた。

 薄闇の中、うっすらと明るく視界が開いた。


「きゃっ! コ、コオくん!」

「……大丈夫か」

「わ、私は大丈夫よ。それよりも、コオくんは大丈夫?」

「……大丈夫だ」


 コオはナオに膝枕されていた。

 2人ともボロボロの服の下に傷だらけの跡が見えた。


「あのモンスターはいなくなっていたわ」

「そうか、倒したのかな?」


 コオは安堵した。死は免れたようだと一息ついた。


「コオくん、助けてくれてありがとう」

「いや、俺こそありがとう。ナオの魔法がなかったら死んでたよ」

「えへへ、どういたしまして」


 互いに満面の笑顔だった。暖かく明るい空気が2人を覆っていた。


「ナオ、本当に俺とでいいのか?」

「え? どういうこと?」

「今回は奇跡的に助かったが、次はどうなるかわからない。だから、もっと強い人と組んだほうがいいかもしれない」

「それは、私では力不足ってこと?」


 ナオは寂しそうに聞いた。希望の後に不必要を求められた気分だ。


「そうじゃない。むしろ逆だ。俺では力不足かもしれない。だから、お前はもっと強い人と組んだほうがいいかもしれない。だから、俺のことなんか気にせずに組みたい人と……」

「コオくんとじゃないと嫌!」


 ナオは遮った。それは彼女の言いたいことだった。


「私はコオくんがいいの。コオくんじゃないとダメなの。コオくんと組みたいの!」


 すると、コオの顔に冷たいものが落ちてきた。しゃがれた声にコオは心配が強くなる。


「ナオ、どうしたんだ? そんなに泣いて」


 ナオは大粒の涙を流して泣いていた。自分で抑えられないようだ。


「な、泣いてないわよ!」


 そう言って立ち上がったナオの足元では、コオが反動で後頭部が滑り込んで地面にぶつけていた。不可抗力だ。


「いったー!」

「ご、ごめん」


 すぐにナオは座り込んだ。

 それと対照的に、コオはゆっくりと座り込んだ。


「……ナオ、俺なんかでいいのか?」

「う、うん」


 照れくさそうなコオと、少し恥ずかしがっているナオ。初々しさがある。


「わかった。一緒に組もう」

「うん」


 未だに照れくさそうなコオと、静かにうれしそうなコオ。周りの風や揺れる花たちが祝うように包み込む。


「ただ、その変わり、条件がある」

「条件?」

「そう、条件だ」


 真面目なコオと、疑問のナオ。


「その条件って?」


 真面目な表情が崩れ始めたコオと、さらに疑問の強くなった顔のナオ。


「その、あれだ」

「?」


 コオとナオ。


「お、俺はナオのことが好きだから、付き合ってください」


 告白。


「はい、よろこんで!」


〈2人は両思いになった〉

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