第10話:3-1;草原かな
3
コンドハ草原。
コオは歩いていた。
横にはナオがいた。
一面見晴らしがいい草原であり、遠くの方に山や森林が広がっていた。今日は快晴であり、いい冒険日和だった。そんな中、コオは歩いていた。
元の街に戻ろうと歩いていた。
「コオくん、なんで戻ろうとするのよ?」
「やっぱり冒険は嫌だ」
「そんな。ギルドではあんなにノリノリだったじゃない」
「どこがだよ! 無理やりだよ」
「でも、弁償は」
「うっ……」
〈コオは戻る足を止めた〉
コオはどうしたものかと頭を抱えていた。冒険は嫌だが、弁償しなければいけない。どちらに進んでも地獄だった。
ナオはその様子を盗み見して、赤くなりながら微笑んでいた。
「そういえばナオ」
「は、はい!」
ナオはさらに赤くなった。心臓をドキドキさせ、頭はポォっとした。
「ナオは何で俺と一緒に旅するんだ?」
「え、あ、え?」
「いや、正直な話、俺よりも優秀な奴なんかいくらでもいるんだぜ。それなのに、どうして俺なんかと」
「そ、そ、それは、え、え、えーと」
「ん? どうした?」
「はわわわわわ……」
心配そうに顔を近づけたコオにナオの顔はヒートアップした。昔に助けてもらってからナオはコオのことが好きなのだが、恥ずかしくてて言えないようだ。混乱しながらも何かを言おうとする。
「……よよよよーし冒険行くわよ」
「そっち街だぞ」
〈ナオはバグった〉
〈クールダウン〉
「私は、コオくんと旅をしたいの」
「ふーん。まあ、いいんだけど、俺、商人なんだけど、どうしたらいいんだろう、と思うんだけど?」
コオは実際に困っていた。商人は、冒険に向いていない。
「商人って、どんな能力があるの?」
「なんか、商品を値切るとか、お金やアイテムの価値を上げるとか、お金を見つけやすくなるとかだって」
「へえーすごい!他には?」
「それだけ」
「……」
……
「……やっぱり帰る」
「商人すごいよ、うん、すごい」
〈帰ろうとするコオをナオは必死におだてた〉
コオは戻ってきたが、ブーたれてた。実際、承認なら冒険するより街にいたほうがいいのは定説だ。しかし、ナオからしたらコオと一緒に冒険したいから、その定説は覆したいところだ。
「……どうせ商人なんか冒険では何も出来ませんよ」
「そ、そんなことないよ。はははははは」
「どうしてジウは一緒に来てくれなかったんだろう?」
「どうしてだろうね(「2人のラブラブを邪魔したくないから」と言われたなんて言えない)」
コオは、ジウのやつが恥ずかしいこと言いやがって、と悪態をついた。ナオに対して変な意識をしてしまっている。と、コオはナオに関してふと疑問に思ったことがある。
「そういえば、ナオは魔法使いなんだよな?」
「そうよ」
「なんの魔法を使うんだ?」
「私は、召喚魔法」
「召喚魔法?」
「そうよ。精霊とか動物とかを召喚するの」
「へー、見せてくれよ」
「モンスターが出たらね」
「そんなすぐにモンスターが出るわけ……」
〈モンスターが現れた〉
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