第49話 草食動物だから安全とは限らない
「カフェらしいものを出せ‼」
ここのところ、カフェという空間が歪んでいる『カフェ兎彩』にてコトネは、それらしいものを所望していた。
キムチうどんの悪夢から4日間、コトネは『カフェ兎彩』を訪れていなかった。
自宅のキムチ消費が忙しかったのだ。
「自分で作ったとか嘘言って会社で配ったぜ…キムチの女王とか呼ばれてるんだぜ…日本人なのにな、責任とれよナミ」
「なに~? キムチクィーンがどうしたの~」
ナツコが明るい声で入ってきた。
「キムチクィーンって呼称が飛び出している時点で話聞いてるじゃねぇかナツコ」
「友達少ない人は嫌ね~、私はママ友に配り終えたわよ~、皆、喜んでたわ~」
「それはオマエの圧だよ…気づけよ、パワハラみてぇなもんだからな」
「ナツコは昔から圧が凄かったから…気を付けた方がいいと思う」
「うん、でも~ナミも圧は凄いよ~」
「そんなことない、コトネみたいにガラは悪くない」
「アタシはガラは悪くねぇ‼ 口が悪いだけだ‼」
キャラこそ違えど三者三様に圧は強いのである。
「それはそうと、なんかカフェっぽいの頼むわナミ、韓国感のないヤツな」
「カフェっぽい?」
「あの食パンの中身エグり出して、アイス放り込んで、熱いチョコぶっかけるのとか」
「アハハ、嫌だ~、じゃあ食パンとアイスとチョコ食べてりゃいいじゃな~い」
「バカ、合わさってこう、どうにか食えるんじゃねぇかよ、食パンの耳にチョコアイス付けて食いてぇってんじゃねぇんだよ‼」
「でも…極論からしたら食パンの耳にチョコアイスでいいと思う」
「オーナーが言うんじゃねぇよ‼ ソレに無駄な手間暇かけて価格を釣り上げるのが商売ってもんだぜナミ」
「そうよ~、素材にこだわってもね~混ぜてしまえば何でも『おじや』の位置づけよ~ナミ~」
「混ぜれば…同じ?」
しばらく考えてキッチンでガサゴソと動くナミ。
「カフェっぽい『おじや』的なもの…」
なにやら呟いているナミ。
テーブルにドチャッと絵にかいたような食材の余りを並べだした。
「おい…それをどうするつもりだナミ?」
「どうしようかと…でも、『カフェおじや』のイメージは沸いてくる気がする」
パスタ鍋をコンロの上に置いて、迷いなくボチャボチャと投入していくナミ。
「まぁ、ナミ、手に迷いがないわ~」
ナツコが感心したように声をあげる。
「バカ、オマエありゃ考えてねぇ、在庫処分市のワゴンセールみてぇなもんだ」
30分後…
「できた」
グツグツと煮立つ謎のスープ。
無言で2人の前に差し出す。
「食えと?」
ナツコ曰く…
「う~ん、食べれるんだけど~、何味かと問われると…考えちゃう感じ~、表現するならコンソメスープが煮詰まって~ソコにトマトを放り込んで~、とろみが付いた感じ~」
「平たく言えば…ギリ食えるスープだったぜ」
コトネ談
(冷蔵庫…スッキリした…)
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