第28話 ふりかけにハズレなし

「今日は、何味にしようかな~」

『ふりかけ』のバラエティパックを楽しそうに掌でポンポンしているナミ。

『おかずを食べないダイエット』を実践中なのだ。

「オメェ、その白米ダイエットって効果あんの? 普通は逆じゃねぇ? 白米抜くダイエットは聞いたことあんだけどアタシ」

 コトネが『タピオカミルクティ』を太いストローでかき回しながらナミに話しかける。

「大丈夫よ、要は油の接種量の問題なんだから」

 どうやらナミ、カツ丼の暴飲暴食で肌荒れから脂肪の蓄積に至り、急遽ダイエットにシフトチェンジしたようである。

「油の接種量というか…カロリーの摂取量のほうを気にしたほうがいいような気がするんだが……」

 後半の方は小声になるコトネ。

 小さな茶碗で白米を何杯も食べるナミ、都度、バラエティに富んだ『ふりかけ』をチョイスすることに楽しみを見出している。

「何味にしようかな~♪」

 嬉しそうにテーブルに並べた『ふりかけ』を選んでいるナミ。

「しかし…まぁ、よくそれだけ買い込んだな…おい」

 飽きれるコトネ。

 ナミは昔から、そうなのだコレクション癖というか、一度ハマると際限なく金を突っ込むタイプなのである。

「ナ~ミ~、持ってきたわよ~」

 ナツコが店に入ってきてテーブルにスーパーの袋をポンッと置いた。

「なんだ?」

『梅わかめ』と『のりたま』で悩み忙しそうなナミの代わりにコトネが袋をひっくり返す、大雑把なのだ。

「ふりかけよ~」

「……おかか、ばっか…」

「そうなのよ~、カオウね~、『ふりかけ』は好きなのよ~、でもね…『おかか』は食べないのよ~」

「うん…カオウが、『ふりかけ』好きなのはわかる、ナツコの料理は味がねぇからな…そして、『おかか』が残るのもなんか解る」

 得てしてそんなものである。

 所詮、子供には『のりたま』とかに比べ『おかか』は地味なのだ。

「なるほど…コレは私には買えないわ」

 ナミが、ご飯を食べながら『ふりかけ』を手に取る。

 ホカホカのご飯のうえには、『のりたま』である。

 そして4杯目である。

『仮面ドライバーふりかけ』『無双戦隊マケンノジャーふりかけ』『パチッとモンスターふりかけ』

 3種の『ふりかけ』一択のフレーバー『おかか』

「あのよ~、メーカー同じだからよ~、中身は同じだろコレ」

 コトネが3種の『おかか』をトランプのように指で扇のように広げる。

「ソレを言っちゃあ、おしまいよ~コトネ」

「平気、『おかか』に『ワカメ』を混ぜたりして、可能性は無限よ」

 ナミが『おかか』をヒョイッとコトネの手から1枚引く…

 帽子を被った少年が「パチモン、ゲットだぜ‼」の絵柄であったという…。

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