子供に好かれるってだけで?
第11話 ボルシチって、よく聞くけど食べたことは無い
「いいわよね~ナツコは…」
「そうでもないのよ~アレが…手に余るのよ~」
看板猫『ザルソバ』を追い回す小さい男の子、ナツコの息子である。
カフェ『
ある意味では名ばかり管理職なのかもしれない。
「さーるーそばー‼」
店内で猫を追い掛け回す、無駄に元気のいい男児『星
仮面ライダーになるために現在、修行中の実であるという。
「カオウ‼ てめぇザルソバにストレスを与えるんじゃねぇわよ‼」
ナミが怒鳴るが効果はない。
「うっせぇ、うっせぇ、うっせぇわ、ナミばぁ」
中指立てて舌を出すクソガキ『カオウ』
「困ったわ~、流行に敏感で…」
あまり困った様子の無いナツコ。
「くせぇ口塞げや限界です‼」
ナミが太い輪ゴムを指で弾いてカオウの横っ面をバチンと弾く。
「いてぇ‼」
「ザルソバを虐めるなカオウ」
静かに言い放ち、冷ややかな視線でカオウを睨むナミ。
バチンッ‼
無言で落ちた輪ゴムを拾い、ナミの顔面に放つカオウ。
「………クソガキがー‼」
「クソババがー‼」
店内で輪ゴムを飛ばし合う2人、その年齢差25歳…互角の攻防である。
そんな自由が許されるほど、本日も客がいないのである。
「餃子くせぇんだよクソガキ‼」
「昨晩、餃子だったのよ~ウチ、わかる?」
「わからいでか‼」
「餃子フレッシュ‼」
パンッ‼
カオウが息をため込んだビニール袋をナミの顔の前で叩いて破る。
「くせぇ…カフェに中華持ち込むんじゃねぇわよ‼
「そうなのよ~、行くとこなくて~、仕方なくココに来たのよ~、ほらっ、ココなら誰の迷惑にもならないでしょ~」
グサッ…
ナツコ親子にとって近所の暇なカフェ『
「ナミばぁ…俺、甘い物食べたい、喉も乾いた」
急に冷めたカオウがテンッとナツコの隣に座る。
「じゃあナミ、ホットケーキとクリームソーダを頂戴な」
「ハイハイ…」
ナミは一応、料理の腕には自信がある。
ただし…メニューは割と限定されている。
食の引き出しは少ないが、奥は深いのだ。
「使いにくい引き出しってことね」コトネ談
「おまたせ」
「しました…だろナミばぁ」
「しましま…」
「シマシマは今日のママのパンツだ」
スパーンッ
ナツコがカオウの頭を叩く。
「黙って食いなさいカオウ」
「あい…ママ」
黙々とホットケーキを食べるカオウ。
「ナミばぁのホットケーキは美味いな」
ニコッと笑うカオウ。
「あぁそうかい…オマエのママの料理は問題があるからね」
首を傾げるナツコ
「そうなのよね~不思議と味が消えていくいのよね~」
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