第10話 結局サラダ味って、何味なんだ?
「退職って?」
「はい…本気です」
「大食いの方じゃないんだよね」
「はい…職を退くの方です」
「うん…それは職を与えられている人が持つ権利だよ佐藤」
「辞する職すらないとでも?」
「……退職者を出すとね、人事評価がね…せめてボーナスが出てからにしてくれないか?」
「私はボーナスなんかいりません‼」
「キミの事じゃないんだよ‼ 私のボーナス査定に響くと言ってるんだよ‼」
「なんですとー‼」
「お茶汲みでボーナスが貰える会社などそうないぞ佐藤」
「部長……私も好きでお茶っ葉管理をしているわけではないのですが?」
「コピー用紙の管理も任せてあるはずだが?」
「感謝しているのは総務部くらいです、裏紙の使用率が高いと評価を頂いております」
「キミ…今辞めてボーナスはいらんのか?」
「いります、辞める会社に遠慮はしません、退社後も陰口を叩かれる覚悟で生きていきます」
「ほう…見上げた覚悟だね…なまじ営業なんかにいると後々、他社でも響くんじゃないのかね?」
「そんなの関係ねぇ‼」
「わかった…退職願いは受け取ろう…後は人事部と相談したまえ」
「はい…と…有給申請もお願いします」
「…取得しちゃうんだ、そういう畑の人か?キミは?」
「ボーナスまでの計算はできてます」
「それはしっかり貰うんだね…馬鹿め‼出すと思うか‼」
「ムキーッ‼ 私にボーナスをくれなさい‼」
『ください』と『だしなさい』が絶妙に混ざったナミ。
結局、弁護士の介入を恐れた会社側がナミの要望を飲む形で有給消化の後に辞表受理という形でナミは退職した。
有給休暇中に、ボーナスも振り込まれ現在、絶賛終わらない夏休み中である。
「8/32って感じ?」
「ナミ…それバグよ、異世界に迷い込んでるわよ」
「まぁニートなんて異世界の住人みたいなものよね~実際」
「ファンタジーのキャラみたいに扱わないでくれるナツコ」
「そうね~異世界は死なないと行けないみたいよ~ナミ」
「転生が大前提らしいからね、ナミ…大きな賭けよコレは」
「人生一発逆転するには命を賭けないとダメってこと…20歳半ばってってそういうものなの? 悲しくない?」
「大丈夫よナミ…30歳までにはなんとかなってるって…きっと」
「アンタ達はいいわよね…寿退社だし、私、ことぶかなったから…木っ端微塵だったから」
それから数年…ナミは未だに独身であり、コトネはバツイチとなり…ナツコは中流家庭の中の中に落ち着き子供を育てている。
それぞれに悩みはあるのだが…。
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