第4話 飯島との直接対決

 伊達 邦子はとある三階建ての雑居ビルにやってきた。

 闇の情報屋から掴んだ情報では、ここが飯島組の本拠地らしい。

 雑居ビルを見上げ、女は戦闘準備に入る。


 女は黒い防弾コートに身を包んでいた。

 ホルスターにはスプリングフィールドのXDを2丁。

 どちらも、弾倉が共有できるすぐれものだ。


 右手にはベレッタ92を握っていた。

 その拳銃の銃口にはサプレッサーが取り付けられている。

 弾倉には炸薬を減らした9ミリの亜音速弾が装填されていた。

 邦子はベレッタ92のセイフティレバーを親指で上げ、重いダブルアクショントリガーに指をかけた。

 


 ここにバイクを奪った犯人の飯島がいる。

 邦子が戦う理由はそれだけで充分だった。

 スーツ姿の男が声をかけてきた。

「ガキか、迷ったのか」

「いいえ」


 タバコを吸いつつ、階段から降りてきた男がそう呟いた。

 邦子は手に握ったベレッタを男に向けた。減音された銃弾が二発放たれる。

 男がドサリと音を立てて倒れると同時に、薬莢が床に転がった。

 ポケットを漁るとブローニングハイパワーがあった。


 邦子は銃口を上に向け、壁を背をつけて階段を上がった。

 階段から敵が降りてきてもすぐに撃てる。

「おい、なんか音したぞ」と男がつぶやく。


 男は懐に忍ばせた暗殺用の25口径に手を伸ばす。 

 光り輝くクロームメッキに白いパールグリップ。

 所詮、サタデーナイトと呼ばれる安物の拳銃だ。


 邦子は男の胸に向けて2発を速射。

 男は1発も拳銃を撃つことなく、階段を転がっていった。

 大きな物音に二階にいる男どもがざわつく。



 廊下から数人が走ってくる。飯島とその護衛が3人。

 いずれも拳銃や短機関銃を構えていた。

 護衛が米軍から横流しされたベレッタM9を撃ちまくる。 

「副頭、お下がりを」

「ちょうどいい機会だ。撃ちまくるぞ」

「ライフルをもってこい」


 邦子は壁際からベレッタ92を撃つが、前進する機会を見失っていた。

 MAC-11の激しい連射音が廊下に響き渡る。

 それはまるでシャワーのように弾をばらまいていた。

 激しい銃撃戦が前進を阻む。

「拳銃じゃ刃が立たない」



 飯島がグロック17をマシンガンのように連射する。

 本来、グロック17は連射することできない。

 だがこの拳銃にはグロックスイッチと呼ばれる装置が取り付けられていた。

 これはグロックの後部に取り付ける小さな四角い装置で、連射を可能にする。

「ヒャッハー、もう弾切れかよ」


 飯島はグロックを惜しげもなく投げ捨てた。

 宿敵が2人の部下に守られて下がってゆく。 

「若頭、車を用意します。お下がりを」

「しゃーねえーな」


 邦子は前進を試みるが、短機関銃の弾幕に阻まれた。

 ウージ 短機関銃サブマシンガンを構える男ども。

 長方形型の短機関銃は連射速度に秀でている。

 特徴はグリップに弾倉を収納していることだ。

「あれを食らえば防弾コートでも一溜まりもない」


 間が悪いことに邦子のベレッタ92はホールドオープン。

 敵から奪ったブローニングハイパワーに持ち変えた。






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