第360話 俺は寝ている時にも休めない人生になった(前編)
俺の自宅で、パーティーを開催。
ディリース
仕込みを避けるために、飲食店のデリバリーではなく、デパートで惣菜やドリンクのまとめ買い。
一通りの自己紹介が終わった後で、それぞれの歓談に突入した。
この2人は、波長が合うみたいだ。
「そちらも、けっこう窮屈なのね。女の子同士で恋愛ってのは、ウチでもあるけど……」
「まあ、女子校には付き物だから……。ウチだって、言うほど多くないよ。卒業したら、お見合いで家庭を持つと考えれば、膜は残しておかないとマズいしさ。そっちと違って交流会もないから、仕方なくって感じ」
「結局、あなたは何者?」
「ユニオンから来た、ビスクドールの怪異じゃ。詳しいことは、その都度教えよう」
◇ ◇ ◇
準備を整えた寝室で、北垣凪と錬大路澪に告げる。
「初夜の作法に
あれ? まだ破っていなかったんだ? と万緒に驚かれたが、とりあえず2人まとめての初夜に。
実は、霊体化している
今回は、物音を聞き、最後にその形跡をチェックして終わりの予定。
ちゃんと、赤と白のコントラストになっているかどうかを……。
『音聞き』は略式で、本当は一部始終を見ないとダメなんだけどね。
枕の方角に気をつけて、周りに犬の置物を並べる。
特定の植物と青い石が入ったタライで手を洗う、と色々な決まり事がある。
「じゃあ、私からでいい?」
「そ、そうね……」
北垣凪が、先鋒。
「ところで、なぜ制服を着ている?」
「え? 大好きでしょ?」
笑顔の凪が、当たり前のように返してきた。
いや、そうだけど……。
「制服は、破きやすい状態にしておく? ハサミもあるけど」
「……お前は、俺を何だと思っている?」
3人とも湯浴みをしたが、凪と澪は
巫女をイメージさせるデザインが、床に敷いたラグの上で正座している。
このまま見合っていても、始まらないか……。
寝室に飾られた
「
交互に飲み、ほんのりと赤い
考えてみれば、彼女の顔を初めて見たのは、ラブホ探索の直前に行われた、
同じくショートヘアで、元気な雰囲気だが、今は期待している目つき。
この暗がりの中でも、色っぽい。
相性が良すぎて、瞬殺されるところだった。
しかも、俺の様子で察したのか、長く楽しめるように調整してくれたようだし……。
『千陣
そういえば、原作の中でも、私は名器だから、という台詞があったような……。
師匠。
俺は、まだまだのようです。
申し訳ありません。
……どこからか、ええんやでー、と、ゆるふわ系の女子高生の声が聞こえた。
頃合いを見計らって、相良万緒と室矢カレナが入室。
「はい、確認させてねー。制服の半脱ぎとは、マニアックな性癖だこと……。経験者が相手だとスムーズで、ガッつかないから、いいわね? いや、そこまでガバッと見せなくていいから」
呆れたように言った万緒は、ひらひらと手を振って、部屋を出て行った。
北垣凪は、前をはだけたセーラー服の上と、同じくスカートと靴下を穿いたまま。
近くに、ピンク色の上下が転がっているけど。
嬉しそうな表情で、余韻に浸っている。
今回はアフターを用意した、と聞いたので、ストレートだ。
「もう少しリラックスしないと、辛いぞ?」
カレナのほうは、ガチガチの錬大路澪をフォローしている。
傍で見せれば、興奮するかな? と思ったが、逆効果のようだ。
澪については、日を改めるか?
そう思った俺に、凪はあっさりと言う。
「ここで先延ばしだと、余計に緊張するから、キリがないよ?」
凪は気怠そうに立ち上がり、汚れて、はだけた制服のままで、テキパキとベッドシーツを変えた。
そして、固まっている澪をその上に放り投げる。
――ここからは番組を変更して、お送りします
「ただ今より、錬大路澪の1時間クッキングを始める」
俺が説明したら、隣に立つ少女が続ける。
「たった今、『こちらに完成品を用意しています』となりました、北垣凪です。助手を務めます」
「澪はまだ堅いので、十分に柔らかくする。
「いきなり強い刺激はマズいので、まずは制服の上からですね!」
だんだんとリラックスしてきたので、凪が元恋人にして、親友である澪に話しかける。
その間にも、俺の両手は動いたままだが……。
「澪ちゃん! これは、皆やっていることだから。普通だよ、普通! ほら、前みたいにしてあげるから……」
サワサワと動く凪の手は、俺よりも慣れていた。
まあ、恋人同士だったなら、感じる部分は知り尽くしているか。
澪が意識しないように、彼女のジッパーやホックを外している。
男子禁制の女子校で、罠に嵌められて処刑されそうだった恋人を救うために全てを投げ捨てたことは、普通ではない。
しかも、そこまでした相手は、他に好きな男ができたから、で終わらせた。
……どころか、私の好きな男に仕えろ、と
人類史において、最初で最後のケース。と断言できる。
だが、歴史の教科書に、決して載せられない。
凪と澪は、両手を恋人繋ぎのままで、話し合う。
「澪ちゃん。私がここで、見ていてあげるから!」
「う、うん……。お願い、凪」
「はい! どうぞ、どうぞ!」
「満面の笑みをした凪から、“つなぎ” を入れて、下準備ができた澪を受け取った。粘りが出るまで、よく混ぜる」
「十分に柔らかくなった証拠に、肉汁が溢れているよ。温度も高くなっているし、いつもの達する直前の反応だから、そろそろいいと思う!」
「何かもう、俺はいらない気もするけど……」
無事に終わって、頭隠して尻隠さず、を体現している錬大路澪を見た。
丸見えだが、今は顔を見られるほうが恥ずかしい。……ようだ。
心配した北垣凪が、声をかける。
「大丈夫?」
「……うん」
本人が言うのなら、問題ないのだろう。
たぶん。
確認にやってきた相良万緒は、援助している何とかの事後みたい、と
凪は、澪に話しかけている。
「ほら!
「うん……」
「今度は2人で、ゆっくりするといいよ!」
「うん……」
洗脳って、こういう流れで行うのだろうな。
ふと、そう思った。
◇ ◇ ◇
2人まとめての初夜が終わった、翌々日。
俺たちは自宅のリビングに集まり、ミーティングをしていた。
もうすぐ、この内装も見納めだな……。
新しい室矢家は、女だらけ。
俺
室矢カレナ
咲良マルグリット
北垣凪
錬大路澪
このレギュラーメンバーに、
睦月、如月、弥生の3人も、忘れてはならない。
そうそう。
俺たちはもう、1つの勢力だ。
「
千陣夕花梨の式神である3人娘は、すぐに
「うん」
「お気になさらないでください」
「了解」
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